6発の銃弾、5つの死体。事件は闇に葬られるはずだった・・・
6発の銃弾が、日常を引き裂いた。ピッツバーグ近郊の街で、川沿いを歩いていた5人の男女が、対岸から無差別に射殺されたのだ。迅速な捜査の結果、警察は元米軍スナイパーのジェームズ・バーを逮捕する。犯行現場の駐車場に残されたコインの指紋、薬莢、外れた弾丸など、すべての証拠品が彼を指していた。取り調べで黙秘を続けていたバーが、突然何かを書き始める。「ジャック・リーチャーを呼べ」。ジャック・リーチャーとは、元陸軍の秘密捜査官で、2年前に除隊して以来、忽然と姿を消した男。運転免許の取得歴も住所の登録歴もなければ、クレジットカード、携帯電話、eメールもない。途方に暮れる地方検事アレックス・ロディンと、刑事エマーソンの前に、不意にリーチャーが自ら現れた。
「俺が来たのは、奴を葬るためだ」と宣言するリーチャー。だが、バーは護送中に囚人たちから暴行を受け、昏睡状態に陥っていた。バーの弁護士ヘレン・ロディンにリーチャーがもたらした情報は、合法的に人を殺すために軍に入ったバーが、イラクで起こした銃撃事件。痕跡を全て消した完全犯罪を解明したのが、リーチャーだった。バーはなぜ、自分が再び罪を犯したと信じるはずのリーチャーを呼んだのか?「あなたも答えを知りたいはずよ」。リーチャーはヘレンの提案を呑み、彼女の調査員として捜査を開始する―。