![ストーリー](http://www.movienet.co.jp/images/movie_icon_story.gif)
瞳を輝かせながら、屋根の上で夜空を見上げては、手元の紙に星座を描く一人の男。彼の名は安井算哲。将軍に囲碁を教える名家の息子として生まれ、学問への造詣も深い。しかし出世や富には興味がなく、自分の好きな算術や星の観測に熱中している時は周りが見えなくなってしまう。
算哲は形ばかりとなった囲碁の勝負に疑問を感じ、いつも真剣勝負の場に身を置いていたいと願う熱い思いを心に秘めていた。若き将軍・徳川家綱の後見人である会津藩主・保科正之は、そんな算哲を見込み、日本全国の北極出地(北極星の高度を測り、その土地の位置を割り出すこと)を命じ、刀を授ける。
時は江戸前期、800年にわたって使われていた中国・唐の時代の暦がずれ始めていた。保科は算哲に、暦の誤りを正し、新しい暦を作るよう命じたのだ。これには、大きな難関がふたつ待ち受けていた。ひとつは、星や太陽を観測するだけで途方も無い時間と労力がかかること。ふたつめは、改暦が朝廷の司る聖域であると同時に、莫大な利権が絡むものであり、そこに幕府が口をはさむことは、朝廷を敵にまわすも同然なこと。
そんな大事業にとまどいながらも、この任務の頭取・建部昌明、副頭取・伊藤重孝、その下男たちと共に、いよいよ算哲の旅が始まる──