美しきイーハトーヴの森。ブドリは両親と妹のネリと幸せに暮らしていた。しかし冷害が森を襲い、食料も乏しくなって両親は家を出ていき、妹のネリは“コトリ”という謎の男にさらわれて、ブドリはひとりぼっちになってしまう。 力尽きて、倒れたブドリを救ったのは、てぐす工場の工場主だった。ブドリは彼の元で働き、仕事を覚えていく。しかしそこでの仕事が終わると、またブドリはひとりぼっちに。
里へと下りたブドリは赤ひげのオリザ畑で働くが、寒さと干ばつのために赤ひげの畑は大きな被害を受け、人が雇えなくなり、ブドリはひとりで旅に出る。銀河ステーションでネリに似た少女を見かけたブドリは、必死に追いかけたが姿を見失ってしまう。
イーハトーヴ市へとやってきたブドリは、クーボー博士と知り合い、彼の紹介で火山局に勤めることになる。所長のペンネンナームの指導のもと、局員としてたくましく成長していくブドリ。しかし再び大きな冷害が襲ってきた。クーボー博士の助言を受け、“ボクにも、できることはきっとある”と奮走したブドリは、愛する故郷と大切なみんなのために、ある決意をする――。
新着映画情報
(声の出演) |
監督・脚本:杉井ギサブロー |
2012/日本 |
ボクにも、できることがきっとある。
名作アニメーション「銀河鉄道の夜」(85年公開)のスタッフがあらゆる世代へ贈る、 主人公の愛と勇気を描いた、長編ファンタジー「グスコーブドリの伝記」。美しいイーハトーヴの森を舞台に、厳しい自然と向き合う主人公ブドリが、自分を生かしてくれた両親や、働くことの大切さを教えてくれた赤ひげ、様々な知識を授けてくれたクーボー博士などとの出会いを通して成長し、やがて困難に直面した故郷と大切な人たちを守るために、ある決意をする。
原作は東北が生んだ国民的作家・宮沢賢治。彼は37年の短い生涯の中で、三陸沖地震を含む大きな地震や冷害に何度も見舞われた。それほど厳しい環境の中でも賢治は故郷・岩手を愛し、作品に登場する架空の理想郷に「岩手」をエスペラント語風にした〈イーハトーヴ〉と名付けた。その彼が書いた『グスコーブドリの伝記』が、原作発表から80年を経てアニメーション映画として甦る。
(c)2012「グスコーブドリの伝記」製作委員会/ますむら・ひろし