19世紀初頭、神秘的な森に囲まれたドイツの町。高名な学者のファウスト博士は、助手のワーグナーとともに研究室で“魂”の存在を探していた。人体のどこにも“魂”を見つけることができないと嘆くファウストに、ワーグナーは「魂の正体を知っているのは神と悪魔だけです」と囁く。ファウストは神など存在しないと言い放つが、「悪魔は金のあるところにいて、広場の近くに住んでいる男が悪魔と噂されている」とワーグナーは言う。
研究費も底をつき、まともな食事もできないファウストは、父親を頼って診療所へ赴き、「すべてを学んで研究につぎ込んだが、人生がむなしい」と打ち明ける。しかし父は、「金を貸すことはできない、ましてや生きる意味など教えられない」と彼を追い返すのだった。
町をさまようファウストは、いつしか悪魔と噂される高利貸の家へ。ファウストが指輪を担保に金を借りたいと申し出ると、高利貸のミュラーは「価値があるのは金ではなく、時と芸術。金は貸さないが、別の形でなら力になろう」と提案する。ミュラーに導かれたファウストは純真無垢なマルガレーテと出会い、人目でその美しさに心を奪われる。しかし、ファウストはミュラーの策略によって彼女の兄を誤って殺してしまう。マルガレーテにすべてを知られ、それでも彼女への想いを断ち切れないファウストは、ミュラーのもとを訪れ、”魂と引き換えにその望みを叶える”という契約書に自らの血で署名する・・・。
新着映画情報
ヨハネス・ツァイラー |
監督:アレクサンドル・ソクーロフ |
2011/ロシア/ヴィスタビジョン/ドルビーデジタル/140分/ドイツ語/字幕翻訳:吉川美奈子 |
生きる意味を探していたファウストに舞い降りた、甘い誘惑と愛をめぐる物語
かつてドイツに実在したといわれている魔術師ファウスト伝説をもとに、文豪ゲーテが生涯をかけて残した不朽の名作『ファウスト』。人間と悪魔が繰り広げる、人生のロマンと愛をめぐるミステリアスで壮大な物語を、ロシアの巨匠アレクサンドル・ソクーロフ監督(「太陽」「エルミタージュ幻想」)が、斬新な演出と軽妙な台詞、圧倒的な映像美で映画化。第68回ヴェネチア国際映画祭では、審査員の満場一致でグランプリ〈金獅子賞〉を獲得。
© 2011 Proline-Film,Stiftung für Film-und Medienförderung, St. Petersburg,Filmförderung, Russland Alle Rechte sind geschützt