1930年代、ヒトラー独裁が進むドイツ。ベルリンの大学で文学を教えるジョン・ハルダーは、善き人であろうと心がけて生きる平凡な男だ。実際に彼は、病身の母を介護する善き息子であり、妻の代わりに家事をする善き家庭人であり、プルーストの講義に情熱を傾ける善き教師であり、戦争を共に戦ったユダヤ人モーリスの善き友であった。しかし、そんなジョンの生き方を一変させる出来事が起こる。過去に書いた小説をヒトラーに気に入られたことから、ナチ党に入党せざるをえなくなったのだ。それは、生き延びるための余地のない選択。だが同時にモーリスを裏切る行為でもあった。やがてドイツ国内で反ユダヤの動きが激化。親衛隊の幹部に出世したジョンは、国外脱出を望むモーリスに手を貸そうとするのだが…。
新着映画情報
ヴィゴ・モーテンセン |
監督:ヴィセンテ・アモリン |
2008/イギリス・ドイツ/シネマスコープ/96分 |
友よ、愛する人よ、僕は何を失ってしまったのだろうかー。 ただ、正しい道を選びたかった。
英国の劇作家C・P・テイラーの代表作である舞台劇「GOOD」をを映画化した本作は、ひとりの善良な人間が、時代の波にひきずられて意図せぬ方向へ流されていく様を描いた重厚な人間ドラマ。自分と家族の命を守るか、それとも友情と信念を貫くかで揺れる主人公の葛藤をみつめながら、何もしないことが大罪になってしまう過酷な状況と、そこに追い込まれていく主人公の苦悩をあぶりだす。
主人公ジョン・ハルダーを演じるのは、「ロード・オブ・ザ・リング」の寡黙な戦士・アラゴルン役でブレイクしたのち、「イースタン・プロミス」でアカデミー賞の主演男優賞にノミネートされたヴィゴ・モーテンセン。
(c)2007 Good Films Ltd.