ヘンリーは、どこにでもいそうなアメリカの小市民。ニューヨーク州バッファローで高速道路の料金徴収係りをしている。目標もなく漫然とその日その日を過ごすだけ。家には看護師をしている妻がいる。ある日、高校時代の悪友らが野球の試合に誘いにくる。ヘンリーが車を銀行の前に停めて友人を待っていると、いきなりベルが鳴った。ヘンリーは強盗の運転手にさせられたのだ。ヘンリーは逮捕され、懲役3年の刑を受けるが、仲間のことは一言も明かさなかった。
刑務所では詐欺師のマックスと同房になった。マックスはきわめて快適に刑務所暮らしをしていた。マックスはヘンリーに「夢は何か」と聞くがヘンリーは答えられない。1年後、仮出所したヘンリーは、強盗事件の銀行前に立っていて、車にはねられる。たいした怪我はしていないようだ。はねた車からあわてて出てきたのは、テレビのCMにも出ている舞台女優のジュリー・イワノワだった。彼女は隣りの劇場でチェーホフの「桜の園」の主人公ラネーフスカヤを演じることになっていた。ヘンリーはジュリーと知り合ったあと、バーのトイレで劇場と銀行の間に古いトンネルがあったことを知り、ある計画が芽生える。やってもいない銀行強盗で刑務所に入ったのだから銀行から金をいただいてもいいのではないか…。