1943年12月。イタリア北部の都市ボローニャに程近い小さな山村。ドイツ軍とパルチザンの攻防が激化するなか、この村にも戦争の影が徐々に迫ってきていた。両親や親戚と暮らす8歳のマルティーナは、大所帯の農家の一人娘。生まれたばかりの弟を自分の腕のなかで亡くして以来、口をきかなくなっていた。ある日、母のレナはふたたび妊娠し、マルティーナと家族は新しい子の誕生を待ち望むようになった。戦況がいよいよ悪化し、ドイツ軍が出入りするなか、地元の若者たちは密かにパルチザンとして抵抗を続ける。幼いマルティーナにはどちらが敵で、どちらが味方かよくわからない。そして両者の緊張の高まるなか、44年9月29日、ドイツ軍がパルチザンを掃討する作戦を開始する――。
新着映画情報
『やがて来たる者へ』
原題:L’UOMO CHE VERRA’
配 給 : | アルシネテラン |
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公式HP: | 別ウィンドウで公式HPを表示 |
公開日: | 2011年10月22日 |
映画館: | 岩波ホールほか全国順次ロードショー |
アルバ・ロルヴァケル |
監督・原案:ジョルジョ・ディリッティ |
2009/イタリア/シネマスコープ/ドルビーデジタル/117分/イタリア語/字幕翻訳:岡本太郎 |
2010年、イタリアのオスカーといわれているダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞で、第二次世界大戦中の歴史的事件“マルザボットの虐殺”を少女の眼差しでとらえた本作が作品賞を受賞。題名の“やがて来たる者”とは、未来に生きる者を意味する。戦争と平和という普遍的なテーマと、人間への深い洞察。そして山間に生きる人々の素朴な暮らしや、季節に彩られる風景が丹念に紡がれる。
監督はジョルジョ・ディリッティ。ドキュメンタリーの出身であり、エルマンノ・オルミ監督(「木靴の樹」「ポー川のひかり」)と仕事をしていた彼は、リアリズムを重視し、できる限り史実に近づけるべく徹底的なリサーチを行った。キャストはほとんどが地元を中心に選びだされた非職業俳優で、アルバ・ロルヴァケルやマヤ・サンサといった知名度の高い女優には方言を話させた。そしてディリッティ監督が歴史の目撃者に選んだのは、口をきかない8歳の少女、マルティーナ。彼女の幼い瞳に映るのは、敵味方に関係なく、子供たちを育て、恋をし、ごく普通の生活を送っていたのに、戦争という時代の奔流に呑みこまれていった人々の姿だった。
(c)ARANCIAFILM2009