3組の「食」は絡み合い、ひとつの物語へと繋がっていく。
渋谷のダイニングバーCooのアルバイト・砂織は人に料理を作るのが生き甲斐。それなのに、物静かな常連客・九条は店で一度もモノを食べた事がない。食べない九条が気になる砂織はお土産にカツサンドを渡すが、九条はそれを托鉢僧にやってしまう。それを知って落ち込む砂織。実は、九条は人の作ったものがどうしても食べられない・・・。
常連客の一人、美江は同棲中の彼氏・小日向がまともに働こうとしないストレスで過食症を患う。いつも何かを食べ続け、トイレで吐いている。ある日、妊娠したことを知った美江は「殺す?生かす?」と小日向に迫る。「俺が食べさせてやる」と答えた小日向はその日を境に、友人の前から姿を消す。美江は友人達に「あたしが食べた」とはぐらかすが・・・。
美江の勤める小さな事務所の社長・小中は、大食漢の妻・咲枝と愛娘・結美との3人暮らし。会社経営が苦しく、ここ数日は何も食べていない。空腹に耐えかねた小中は深夜、台所で結美の弁当を食べてしまう。食べなければ生きられない自分に嫌気が差した小中は「即身仏になる」と言って段ボールハウスに篭ってしまうのだが・・・。