![ストーリー](http://www.movienet.co.jp/images/movie_icon_story.gif)
明治42年、弘前。大森賢治は、津軽蕎麦の屋台を営んでいた。鰯の焼き干しからとるその出汁は、ほかに真似のできぬ深い味を出していた。焼き干しは、戦争で夫を失ったトヨがその幼い娘フキと共に青森から運んで来るもの。賢治はトヨに淡い想いを抱きながら、自分たちの店を持つことを夢見ていた・・・。
現代の東京。結婚披露宴の会場でバルーンアートを披露している大森陽一。写真を撮っているカメラマンの筒井七海。陽一が、うっかり七海の照明器具を壊してしまい、慌てた七海から飛び出た津軽弁。2人は、どちらも弘前出身だった。陽一は、借家を七海とシェアすることで照明器具代を弁償するという提案をする。
経済的理由からの共同生活が始まった。陽一は、七海に蕎麦を作ってご馳走する。陽一の実家は、弘前に百年続く「大森食堂」。四代目にあたる彼は、中学生の頃から父・哲夫に津軽蕎麦作りを仕込まれていた。しかし、父との確執から、店は継がずにバルーンアートをしながら東京で暮らしている。
そんな時、弘前で、父・哲夫が交通事故で入院した。当分「大森食堂」は閉めることになるという。「でも帰って来なくて大丈夫」という姉の電話に、陽一は複雑な気持ちになる。だが、翌朝、「お客さんを待ってる店が可哀想で‥」という祖母フキの切実な電話の声を聞いて、一時的な帰省を決めるのだった・・・。