“ミスター・タンブリンマン” ─ 自分の詩をインターネットに投稿し続ける少年のハンドルネームである。少年は、都会に住むチャットの相手から、三日後に行われるボブ・ディランのライブに誘われる。だが、少年は「ここからじゃ遠すぎる」と躊躇してしまう。少年が住むのはブラジルの南部にある、ドイツ移民の伝統が今も強く残る小さな田舎町なのだ。
ある日少年はひとりの青年と出会う。彼はかつて、恋人のジングル・ジャングルと一緒に心中を図った男ジュリアンだった。ジングル・ジャングルは死に、ジュリアンは死に切れず、町に戻って来たのだ。
インターネット上には、ジングル・ジャングルが生前に撮影した映像が残されていた。彼女は、数多くの作品を撮影し、インターネット上に投稿していたのだ。少年はその映像の世界に惹きこまれていく。現実世界と仮想世界の境界が曖昧になる程に。
─ ボブ・ディランのライブに行くことを願い、この退屈な町を出たいと思う少年
─ 自分の魂、自分のかけらを写真や映像に残し、逝ってしまった少女
─ 恋人との情死に失敗し、死に切れず、結局この町に戻ってきてしまった青年
死んだジングル・ジャングルへの自己同一視、ジュリアンのいわれなき魅力。少年は自分自身の解決しがたい絶望と格闘する...。
新着映画情報
『名前のない少年、脚のない少女』
原題:Os Famosos e os Duendes da Morte
配 給 : | アップリンク |
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公式HP: | 別ウィンドウで公式HPを表示 |
公開日: | 2011年3月 |
映画館: | 渋谷シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開 |
エンリケ・ラレー |
監督:エズミール・フィーリョ |
2009/ブラジル・フランス/ポルトガル語・ドイツ語/101分 |
僕たちは三人だった 彼、彼女、そして僕
カンヌ映画祭批評家週間・最優秀脚本賞受賞をはじめ、世界各地の映画祭で数々の受賞歴を持つブラジルの超新星エズミール・フィーリョ監督、初の長編作品。フィーリョ監督の作品は、少年少女の苦悩や、悲しみ、反抗心、不安感、孤独で満ち溢れている。「これは喪失と共に生きることを描いた映画だ」と監督が明言している通り、10代に特有の語られざる思いと困惑に満ちた本作は、インターネットを通じなければ世界と繋がれないと考えている、隔絶された町に住む思春期の少年の物語である。