ジョージ6世は、幼い頃からずっと、吃音というコンプレックスを抱えていた。英国王ジョージ5世の次男という華々しい生い立ちでありながら、人前に出ることを嫌う内気な性格となり、いつも自分に自信が持てなかった。厳格な父はそんな息子を許さず、様々な式典のスピーチを容赦なく命じる。仕方なくジョージは、妻のエリザベスに付き添われて、何人もの言語聴覚士を訪ねるが、一向に改善しない。エリザベスは、スピーチ矯正の専門家であるライオネルのもとへ夫を連れていく。オーストラリア人であるこの男は、何もかもが型破りだった。診察室では私たちは平等だと宣言し、王太子を愛称で呼び、ヘビースモーカーの彼に喫煙を禁止する。さらに、吃音は心の問題だと考えるライオネルは、プライベートについての無遠慮な質問をぶつけ、ジョージを怒らせる。決定打は、大音量の音楽が流れるヘッドホンをつけて、シェイクスピアを朗読するという奇妙な実験だった。ジョージは君の治療は自分には合わないと告げ、足早に立ち去った。
だが、クリスマス放送のスピーチがまたしても失敗に終わったジョージは、ライオネルに渡された朗読の録音レコードを聞いて驚く。音楽で聞こえなかった自分の声が、一度もつまることなく滑らかなのだ。再びライオネルを訪ねたジョージは、その日から、彼の指導のもとユニークなレッスンに励んだ。
1936年、ジョージ5世が亡くなり、長男のエドワード8世が即位する。父の死に心を乱されたジョージは、自宅でくつろぐライオネルに会いに行く。診察ではなく友人との会話として、父と兄への複雑な想いと辛かった幼少時代を、初めて他人に打ち明けるのだった。
しかし、事態は思わぬ方向へと流れていく。かねてからアメリカ人で離婚暦のあるウォリス・シンプソンと交際していたエドワードが、王位か恋かの選択を迫られる。王にだけはなりたくないジョージは、彼を励まそうとするライオネルと激しい言い争いになり、ケンカ別れをしてしまう。やがてエドワードは恋を選び、ジョージは遂に望まぬ座に就くが、大切な王位継承評議会のスピーチで大失敗をしてしまう。その夜、「私は王ではない」と泣き崩れるジョージを、優しく慰めるエリザベス。二人には分かっていた。助けてくれるのは、あの男しかいない。ジョージとライオネルは友情を取り戻し、戴冠式のスピーチは成功に終わる。
だが、本当の王になるための真の試練は、これからだった。ヒトラーの率いるナチスドイツとの開戦直前、不安に揺れる国民は王の言葉を待ち望んでいた。王は国民の心をひとつにするために、世紀のスピーチに挑むのだが──。
新着映画情報
『英国王のスピーチ』
原題:The King’s Speech
配 給 : | ギャガ |
---|---|
公式HP: | 別ウィンドウで公式HPを表示 |
公開日: | 2011年02月26日 |
映画館: | TOHOシネマズ シャンテ、Bunkamuraル・シネマほか全国順次ロードショー |
コリン・ファース |
監督:トム・フーパー |
2010/イギリス・オーストラリア/ヴィスタビジョン(1:1.85)/ドルビーデジタル/118分 |
吃音に悩み、自らを否定し続けてきた英国王ジョージ6世。 全国民を前に、王の尊厳と誇りをかけた演説が始まる―。
本作は、現イギリス女王エリザベス2世の父、ジョージ6世が主人公の歴史ドラマ。吃音症を抱えた内気なジョージ6世が、言語聴覚士の助けを借りて障がいを克服し、第2次世界大戦開戦にあたって国民を勇気づけ心をひとつにする見事なスピーチを披露して、人心を得るまでを描く。
主演のジョージ6世には「シングルマン」で世界の映画賞を独占した記憶も新しいコリン・ファース、言語聴覚士にジェフリー・ラッシュ、ジョージ6世の献身的な妻にヘレナ・ボナム=カーターという本格演技派がそろった。監督は主にTV 作品を手がけ、エミー賞やゴールデン・グローブ賞に輝くトム・フーパー。
(c)2010 See-Saw Films. All rights reserved.