昭和40年代、東京の下町でケンカにあけくれ、殺伐とした生活を送る矢吹丈は、その天性の身のこなしから、元ボクサー・丹下段平にボクサーとしてのセンスを見出される。しかし、問題を起こしたジョーは少年院へ。そこでチャンピオンレベルの力を持つプロボクサー・力石徹と遭遇し、ぶちのめされる屈辱を受けるが、力石もジョーの繰り出したパンチを浴び、秘められたその力に気付く。
段平から「あしたのために」の書き出しで始まるボクシングの練習方法が書かれたハガキが届き、ジョーは力石に勝つために懸命に鍛え始める。一足先に少年院を出た力石は、近代的な巨大ジムに所属し、ジムのオーナー・白木葉子の支援による恵まれた環境のなか連戦連勝。圧倒的な強さでエリート街道をひた走る。一方のジョーは、橋の下のオンボロジムで段平と二人三脚の特訓。本能むき出しで「クロスカウンターパンチ」を得意とする人気ボクサーとなる。
やがて、力石は世界タイトルに手が届くところまで上り詰めるが、世界戦の前にジョーとの決着を望み、ジョーも、自分がプロボクサーになったのは力石と戦うためだと、強く訴える。しかし、ふたりの間には、そのキャリア、実力の差もさることながら、ボクシングでは決定的となる体重の差もあった。ジョーのいるバンタム級まで階級を落とすという、力石の過度の減量を見かねた葉子は対戦回避に向けて奔走する。ジョーに対しては、前哨戦に“殺人マシーン”と恐れられる強豪・ウルフ金串をぶつけ、力石にもジョーの存在を忘れるように懇願するのだったが.....。
そして、運命の日。場所はボクシングの聖地・後楽園ホール。ふたりは宿命のリングに上がる――
新着映画情報
山下智久 |
監督:曽利文彦 |
2011/日本/シネマスコープ/ドルビーデジタル/131分 |
ビートルズが解散し、アポロ13号が打ち上げられたころ、日本人の心をひとつにした漫画があった。高森朝雄が書き、ちばてつやが描く、野生のボクサー・矢吹丈とエリートボクサー・力石徹の命を懸けた戦いに、多くの人々が熱狂しその人気は社会現象と化した。 累計発行部数は2500万部以上。テレビアニメ化されれば最高視聴率は31.6%。
それから40年、ついに実写映画化された。主人公・矢吹丈には「クロサギ」で映画界に新風を巻き起こし、トップスターに昇りつめた山下智久。ジョーの永遠のライバル、力石徹には「十三人の刺客」での好演はもとより、大河ドラマ「龍馬伝」での高杉晋作役が記憶に新しい伊勢谷友介。ふたりは数カ月に亘る肉体改造で、体脂肪率4%前後のプロをもうならせるボクサー体型を獲得。ヒロイン・白木葉子には、“海猿”シリーズや「パレード」などで女優としての進境著しい香里奈。そして、注目の丹下段平には、無類のボクシング好きで知られる香川照之。監督は曽利文彦。舞台となる昭和の下町を5000平方メートルのオープンセットで完全再現し、リアルと最新CGの融合で原作の世界を映画に昇華させる。
(c)2011 高森朝雄・ちばてつや/「あしたのジョー」製作委員会