![ストーリー](http://www.movienet.co.jp/images/movie_icon_story.gif)
テレビが盛んにベトナム戦争やアポロ11号関連のニュースを伝えている1969年の夏。ユダヤ系移民の家庭に生まれた青年エリオット・タイバーは、すっかり負け犬人生に馴染んでいた。グリニッジ・ヴィレッジのデザイナーとして成功した彼は、絵画の才能にも恵まれていたが、ニューヨーク州ホワイトレイクの実家で“エル・モナコ”という古びたモーテルを営む両親が悩みの種。かんしゃく持ちの母ソニアといつもぼんやりしている父ジェイクをどうしても見捨てることができないエリオットは、家業の手伝いに束縛される毎日に息苦しさを感じながらも、今日も銀行に出向いて借金返済の猶予を頼み込んでいた。34歳の若さで地元商工会の会長職も任されている彼のせめてもの願いは、大好きな音楽を生かして町興しをすることだった。
7月15日、エリオットの目に飛び込んできたのは、ウォールキルの町で行われるはずだったウッドストック・フェスティバルの開催許可が取り下げられたという新聞記事だった。この巨大な野外コンサートをホワイトレイクに招こうと考えたエリオットは、ウッドストック事務局に電話をかけ、すぐさまヘリコプターで視察に現れた若き主催者マイケル・ラングと意気投合する。“エル・モナコ”から3キロほど離れた町ベセルにある牧場をひと目で気に入ったラングは、コンサートの意義に理解を示すオーナーのマックスと交渉し、広大な草原をコンサート会場として借り受ける契約を締結。さらに運営組織の本部を“エル・モナコ”に設置することも決定する。かくしてジャニス・ジョプリン、グレイトフル・デッド、ジョーン・バエズ、サンタナ、ジェファーソン・エアプレイン、ザ・フー、ジミ・ヘンドリックスらのそうそうたる大物ミュージシャンが参加する夢のようなフェスティバルの誘致が、誰も予想しないほどのスピードで実現した。
ところがそのニュースが新聞で報じられると、ヒッピーに町を荒らされることを恐れた地元住民が一斉に反発。行きつけのダイナーに立ち寄ったエリオットは「恥を知れ!」と、こっぴどく罵倒されてしまう。その一方でベトナム帰還兵の親友ビリー、前衛劇団の座長デヴォン、女装趣味を持つ元海兵隊員ヴィルマらの積極的な協力がエリオットを勇気づけていく。
やがてフェスティバル初日の8月15日が目前に迫ると、いつもは狂騒とは無縁のホワイトレイクののどかな風景はがらっと一変。州警察は大渋滞で麻痺した高速道路の緊急閉鎖を発表し、テレビ・レポーターは「すでに50万人の若者たちが集まっており、さらに100万人が足止めされています!」と報じた。これは事務局の動員予測をはるかに上回る驚きの数字だった。
そしてついに訪れた8月15日、“エル・モナコ”の近くの湖は一糸纏わぬヒッピーたちであふれ、さながらヌーディスト・ビーチと化していた。そのほとりで耳を澄ますと、マックスの牧場の方角からかすかに演奏が聞こえてくる。いよいよ3日間に渡る歴史的なフェスティバルが開幕したのだー。