ロンドン、イーストエンド。“若い母親”は、警察の爆弾処理班の夫と4歳の息子とともに、平凡な生活を営んでいた。夫は、昼夜かまわず危険な仕事に呼び出され、常に緊張状態にあり、夫婦の関係は暖かさのない乾いたものになっていた。ある夜、電話で呼び出され、無言のまま爆弾処理へと向かう夫を見送った彼女は、夫の無事を祈り続ける緊張と孤独に耐え切れず、パブへ出かける。そこで出会った新聞記者のジャスパーと意気投合し、その夜、ふたりは欲望のままに関係を持つ。
晴天の5月1日、メーデー。息子と夫をサッカー観戦に送り出した彼女は、偶然にもジャスパーと出会い、彼の誘惑に負け、部屋に招き入れる。堰を切ったように、ソファで激しく抱き合うふたりの目に、TVが映し出すスタジアムでの大規模な自爆テロの映像が飛び込んで来た。彼女はジャスパーと共にスタジアムに駆けつけるが、崩れ落ちる瓦礫の下敷きに。気づいたのは、病院のベッドの上だった。あの日、息子も夫も命を奪われ、死者1003人の大惨事のテロ事件となっていた。罪悪感、後悔、哀しみ‥。彼女の世界は動きを止めた。
享楽的だったジャスパーの人生も変化した。本当ならば彼もあの時スタジアムにいるはずだったのだ。彼は、事件を追究し始める。そして、入手したビデオに映った観客席に、驚くべき人物を見つける。それは、数年前から当局が目をつけていたはずの男。そして、その付近にいた人間は皆行方不明になっている。「なぜ、警察はこの情報を隠してる!?」
その頃、彼女に近づき、その空っぽな心と苦悩を癒してくれていたのは、亡き夫の上司であるテロ対策部門長のテレンスだった。自分と会おうとしない彼女の部屋を無理矢理訪ね、警察が何故か隠す情報を伝えるジャスパー。 ・‥やがて彼女は、警察が隠蔽する、さらなる驚愕の真実を知ってしまう。
新着映画情報
ミシェル・ウィリアムズ |
監督・脚本:シャロン・マグアイア |
2008/イギリス/シネマスコープ/ドルビーデジタル/100分/R15+ |
情事の午後に息子が死んだ。爆破事件に巻き込まれて‥・。
“若い母親”が爆破テロで幼い我が子を失う。しかも、情事の最中に。そんな衝撃的な悲劇から始まる、愛と裏切りのサスペンスが幕を開ける。
良き母でありながら欲望に翻弄され、絶望の中から真実に近づいていく女という難しい役を演じるのは、「ブロークバック・マウンテン」「シャッターアイランド」のミシェル・ウィリアムズ。テロ事件の裏に潜む闇に気づき、それを追究していく恋人の新聞記者を演じるのは、「天使と悪魔」のユアン・マクレガー。そして、夫の上司であるテロ対策部門長のテレンス役に、「プライドと偏見」のマシュー・マクファディン。
監督は、等身大の女性を描いて大ヒットした「ブリジット・ジョーンズの日記」のシャロン・マグアイア。コメディとサスペンスというジャンルは異なるものの、再び等身大の女性を赤裸々に描き、リアルな感情でスリリングに物語を引っ張る。音楽は「LOVERS」の梅林茂。原作は、オサマ・ビン=ラディンへの手紙という斬新な語り口で綴られた世界的ベストセラー『息子を奪ったあなたへ』(ハヤカワepi文庫)
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