SF作家の朔太郎と銀行に勤める妻・節子は16年間ずっと仲睦まじい夫婦。ある日朔太郎は、節子が大腸癌に冒され、余命はあと1年であると外科医・松下に聞かされる。朔太郎は事実を胸にしまい込み、抗癌剤治療を始める節子に「必ず治る」と笑顔で告げる。「笑うことで免疫力が上がることがある」と松下から聞いた朔太郎は、毎日1篇、短編を書き、節子を毎日笑わせることにする。余命を告げられてから1年、宣告が現実になることはなかったが、2年、3年と経つにつれ、節子の容態は少しずつ確実に悪化していく。
そして、物語が1778話に達した時、朔太郎はどんな恋愛小説もかなわない愛の言葉を綴ることになる――。