徳川家に生まれた斉道は、孤独で退屈な日々を送っていた。ある晩、家臣の瀬田助次郎が眠れぬ斉道に言った。「私の故郷・瀬田村の山には天狗がおります…」 助次郎の話に興味を持った斉道は、瀬田村へ向かう。
瀬田山で生まれ育った雷は、父・理右衛門(りえもん)と二人きりで自由奔放に暮らしていた。山が乱されないよう、山に入った村人を脅して追い払っていた雷。やがて村人の間で噂が広がった。「瀬田山には天狗がいる…」
斉道は瀬田村に向かう道中、御用人の榎戸角之進(えのきど かくのしん)らが止めるのも聞かず、一人「天狗の棲む山」へ馬を走らせる。そこで斉道は雷に出会う。村に戻った斉道は助次郎に「女の天狗に出会った」と話す。すると、助次郎が斉道に告げた。「その天狗は、二十年前に誘拐された私の妹、遊(ゆう)に違いありません」
雷は村へ戻り、遊として生きた。そして斉道と遊は、美しくも奇妙な巨木《雷桜》(らいおう)の下で再会する。山の外を知らない遊は、“身分の違い”など意識せず、まっすぐな気持ちで斉道に向き合う。斉道にとって遊は、初めて“殿”という立場抜きに話せる存在となった。互いに惹かれあう二人。しかし、周囲がそれを許すはずはなかった―。
新着映画情報
岡田将生 |
監督:廣木隆一 |
2010/日本/ヴィスタビジョン/ドルビーデジタル/133分 |
将軍家に生まれ、心に病を抱えた男・斉道(なりみち)。男は、愛など信じなかった。
山で育てられた自由奔放な女・雷(らい)。女は、恋さえ知らなかった。
それは、決して出会うはずのない二人だった――
主人公・斉道役には、「重力ピエロ」「僕の初恋をキミに捧ぐ」などで数々の映画賞を受賞し、今、日本映画界で最も注目されている若手実力派俳優、岡田将生。ヒロイン・雷役には、こちらも「フラガール」で数多くの映画賞を受賞し、今や日本映画界に欠かせない若手実力派女優、蒼井優。ともに時代劇初挑戦となる彼らは、本作のために殺陣や乗馬を特訓して撮影に臨んだ。メガホンをとるのは、「余命1ヶ月の花嫁」で大ヒットを記録した廣木隆一。
同名原作(著:宇江佐真理)は、多くの女性読者に支持され17万部を突破。その原作が醸し出す幻想的な世界観を、沖縄をはじめ、茨城、静岡などで撮影を敢行することにより再現している。
(c)2010「雷桜」製作委員会