テヘランからほど近い、カスピ海沿岸のリゾート地で3日間を過ごすために集った大学時代の友人たち。すでに幼い子供も持ち、揺るぎない家族を作り上げているセピデーがかつての友人たちに声をかけ、 セピデーの子供が通う保育園の先生エリも誘っての、子供たちを含む11人の週末のヴァカンス。
女たちが食事の準備をし、男たちがビーチバレーに興じているとき、それは起こった。子供たちの一人が溺れたのだ。必死の救助でその子は九死に一生を得、息を吹き返した。 しかしそのとき、エリが見当たらないことに全員が気付くのだった。再びの恐怖に、彼らの必死の捜索が始まる。しかし海難救助隊の出動でもエリの行方はつかめなかった。海で溺れたのか。それとも何も言わずにこの別荘を出ていったのか。彼女の存在を残す痕跡はどこにも見当たらない。さらに捜索が進むうちに、彼女の正式の名前さえ誰も知らないことが判明していく。彼らが知っているのはエリという愛称のみだったのだ…。
新着映画情報
『彼女が消えた浜辺』
原題:About Elly
配 給 : | ロングライド |
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公式HP: | 別ウィンドウで公式HPを表示 |
公開日: | 2010年09月11日 |
映画館: | ヒューマントラストシネマ有楽町にて公開(全国順次) |
ゴルシフテェ・ファラハニー |
監督・脚本:アスガー・ファルハディ |
2009/イラン/ヴィスタビジョン(1:1.85)/ステレオ/116分 |
ひとりの女性が忽然と姿を消した。 いったい彼女は誰だったのか。 そして私たちは、その浜辺で何を想うのか…。
アッバス・キアロスタミ、モフセン・マフマルバフといった巨匠やバフマン・ゴバディらの俊英を輩出し、世界的にも極めてユニークかつ野心的な傑作を数多く生み出してきたイランから、新たな驚きをもたらす映画が届けられた。本作「彼女が消えた浜辺」はイラン映画としては珍しく、中流階級の男女がヴァカンスに興じるシチュエーションで幕を開け、巧妙にして予測不可能なストーリーテリングで観る者を釘づけにする。謎が謎を呼ぶ心理サスペンスに、鋭い問題提起や社会的メタファーをさりげなく織り交ぜたこの群像ドラマは、漠然とした不安を抱える現代人の胸をざわめかせずにおかない。
本国イランでは2009年の年間興行収入2位となる大ヒットを記録し、第59回ベルリン国際映画祭最優秀監督賞(銀熊賞)やトライベッカ映画祭最優秀作品賞ほか数々の賞を受賞。豊かな娯楽性と作家性を兼ね備え、イラン映画のニューウェーヴ到来を感じさせる。
(c)2009 Simaye Mehr.