優しい両親のもと、森の一軒家で育てられた純粋無垢な幼い姉妹、みゆきとかおりの穏やかな人生は突然崩壊した。ある真夜中、ただならぬ悪夢にうなされてベッドを這い出したふたりは、両親が上映していた16ミリ・フィルムの中に出現した不思議な白い光を目撃してしまう。その17年後、白い光を浴びた影響で死への誘惑に取り憑かれてしまった姉、みゆきは、ついに自らの命を絶つことを決意する。そんな姉の行方を追って上京してきたかおりは、神をも恐れぬ脳の人体実験を繰り返す母親、悦子と再会する。そんな美しき姉妹と狂気の母親を待ち受けていたのは、彼女たちが生きる現実そのものを揺るがす異常な惨劇だった……。
新着映画情報
藤井美菜 |
監督・脚本:高橋洋 |
2009/日本/ヴィスタビジョン/ドルビーデジタル/94分 |
禁断の領域に触れた美しき姉妹の運命を描く 前代未聞の〈脳髄狂気ホラー〉誕生!
20世紀末から21世紀初頭にかけて北米、アジア、ヨーロッパを席巻し、猛威をふるった“Jホラー”と呼ばれる日本製の恐怖映画。いずれもハリウッドでリメイクされた「リング」「仄暗い水の底から」「呪怨」を世に送り出し、このジャンルを牽引してきた一瀬隆重プロデューサーが、自らJホラーを総括すべく放つ最新作「恐怖」。
企画の始まりは、一瀬プロデューサーが2004年に立ち上げた〈Jホラーシアター〉にさかのぼる。日本のホラー界を代表する6人の監督と6本の長編映画を作るという趣旨でスタートした同プロジェクトは、すでに「感染」「予言」「輪廻」「叫」「怪談」という5本のハイレベルなホラーを創造してきた。その最終章を飾る「恐怖」のメガホンを託されたのは、「リング」「女優霊」といったJホラー・ブームの原点たる作品の脚本を担当し、黒沢清、中田秀夫、鶴田法男といった名だたる監督たちとのコラボレーションで知られる高橋洋。
冒頭からモノクロの記録フィルム、集団自殺、隔離病棟での怪実験、幽体離脱といった異様なイメージが錯綜するこの映画は、ずばり人間の感情や思考を司る“脳”をテーマにしている。マッド・サイエンティストさながらに人工的に脳を操作する悪魔的行為に没頭する母親と、それに翻弄される姉妹が触れてしまうのは、決して人間が見てはいけない禁断の世界。