僕はようやく、生きていく意味を見つけた。 ーー老女モードとの出会いが少年ハロルドの運命を変えたー
19歳のハロルドは今日も“自殺”を演じる。自殺の真似ごとは彼の生活の一部だった。広大な邸宅、欲しいものは何でも手に入る大金持ちの一人息子の彼は、上流階級意識もあらわな教育熱心の母親や軍人である叔父に代表される体制に、いまや自殺の演技で抗議するのだった。
彼の愛車は霊柩車。それを運転してさまざまな葬式に出席する。ある日、いつものように他人の葬式に出席しているともう一人の風変わりな傍観者に気づいた。79歳のおばあちゃん、モードである。彼女は突拍子のないところがあり、いたずら好きで、生きることの喜びに満ちたチャーミングな女性だった。この出会によってハロルドは人生の素晴らしさを知っていく・・・。