僕は鳥になって 空を飛びたいーーやさしくも滑稽で、おかしくも悲しい少年ブルースターの夢ー
舞台はアメリカ南部テキサスのヒューストン。ここの名物は完成したばかりのアストロドーム(屋内野球場)。最先端の設備と厳重な警備を誇るが、このドームの地下の片隅にブルースター・マクラウドはこっそり住んでいた。彼は自分の力で鳥のように空を飛ぶため、翼のついた装置を開発し、肉体を鍛えるトレーニングにも余念がなかった。
ブルースターはいま、人類最初の飛行で知られるライト兄弟の兄アブラハム・ライトの運転手を務めているが、120歳となったアブラハムは意外にも守銭奴の差別主義者だった。そのアブラハムが殺され、その後もブルースターを窮地に追い込む男たちがことごとく殺され、死体にはデス・マークならぬバード★シット(…つまり鳥のフン)がいつもべったりと顔に張り付いていた…