それは、9人の男女の、楽しく華やかなパーティのはずだった。一発の銃声と女の悲鳴が、事件の幕開けを告げるまでは──。舞台は、のどかで美しい風景が広がるフランスの小さな村、ヴェトゥイユの大邸宅。ホストはそこに住む上院議員夫妻、ゲストは医師夫妻に彫刻家、作家に女優といった上流階級の男女で、親戚や友人関係のごく親しい間柄だ。殺されたのは、精神分析医のピエール。医師としては非常に優秀な男だが、女性たちには危険な魅力をふりまいていた。結婚当初から妻への忠誠心はカケラもなく、パーティに集まった女たちの中には、過去の火遊びの相手、現在の愛人、そして復縁を迫る元恋人がいた。事情を知る男たちも含めて、全員がピエールに愛情と嫉妬、憎しみや哀しみなど複雑な想いを抱えていた。それは何かのきっかけさえあれば、殺人の“動機”にも成り得る危ない感情だった。しかしまた、全員に“アリバイ”もあった。銃声が鳴り響いたプールサイドに彼らがほぼ同時に駆けつけた時、ピエールの妻が銃を手にしていた。だが、彼女の供述どおり、一歩早く駆け寄って銃を拾っただけだと証明される。犯人は誰か、そして真の動機は何なのか? 捜査が暗礁に乗り上げ、互いに誰も信じられなくなった時、第2の殺人が起きる──。
新着映画情報
『華麗なるアリバイ』
原題:Le Grand Alibi / The Great Alibi
配 給 : | アルバトロス・フィルム |
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公式HP: | 別ウィンドウで公式HPを表示 |
公開日: | 2010年07月17日 |
映画館: | Bunkamura ル・シネマほか全国順次ロードショー |
ミュウ=ミュウ |
監督:パスカル・ボニゼール |
2008/フランス/ヴィスタビジョン/ドルビーSR/93分 |
フランスの小さな村の大邸宅に集まった 9人の男女。 1人の男が殺され、8人全員に動機とアリバイがあった─
アガサ・クリスティー生誕120年を迎える2010年、公開される本作「華麗なるアリバイ」は、クリスティーが1946年に出版した『ホロー荘の殺人』の映画化である。男女の複雑な心理と、華麗なる愛の駆け引きを描いた『ホロー荘の殺人』は、推理小説としての完成度はもちろん、恋愛小説としても高く評価されてきた。この小説にも、クリスティー作品には欠かせない名探偵ポワロが登場するが、クリスティーは自伝の中で、「ポワロを登場させたのは失敗。ポワロを抜きにしたら、もっとよくなると思い続けた」と記している。そして、より人間の心に深く踏み込むために、彼女は舞台版を執筆した際に、自らの手で名探偵役を削除した。今回、映画化にあたっても、舞台版に準じてポワロの存在は削除された。愛は永遠のミステリーであり、その謎だけは名探偵をもってしても、解くことはできない。
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