ケンタとジュンは同じ施設で兄弟のように育った幼なじみ。工事現場でひたすら壁を壊す”はつり”と呼ばれる仕事が二人の仕事だ。低賃金、劣悪な労働環境。そして職場の先輩・裕也による理不尽で執拗ないじめ...。ある日二人はナンパに出かけ、ブスな女の子・カヨちゃんに出会う。それ以来ジュンはカヨちゃんの部屋に転がり込んでいた。
裕也の腹には消えずに残る何本もの傷痕がある。その傷は、ケンタの兄・カズによるものだった。ケンタがまだ13才だった頃にカズが起こした幼女誘拐未遂事件。カズは、事件のことを馬鹿にした裕也の腹をカッターナイフで何度も切りつけたのだ。その賠償金と称されて、ケンタは毎月裕也に金を払い続けている。「...ケンタくんは言った。世の中には二種類の人がいる。一つは人生を自分で選べる人...もう一つは選べない人...。オレたちは選べない人...」。
ある深夜、ケンタとジュンは仕事場へ向かった。付いてくるカヨちゃん。今夜二人はある計画を実行する。それは、裕也の愛車を大ハンマーで破壊し逃げることだった。裕也の車の上に飛び乗り、力いっぱいハンマーを振り下ろす二人。その光景にカヨちゃんは歓声をあげて喜んだ。二人は、カズのいる網走に行くことを決めた。ケンタとジュンとカヨちゃん。お金も知恵もない三人の、後戻りできない旅がはじまる――。
新着映画情報
『ケンタとジュンとカヨちゃんの国』
配 給 : | リトルモア |
---|---|
公式HP: | 別ウィンドウで公式HPを表示 |
公開日: | 2010年06月12日 |
映画館: | 新宿ピカデリー、渋谷ユーロスペース、池袋テアトルダイヤほか全国ロードショー |
松田翔太 |
監督・脚本:大森立嗣 |
2010/日本/ヴィスタビジョン(1.85:1)/DTSステレオ/131分 |
戻る場所は、ない。 生まれたときから親もお金もなかった。 生き方も死に方も、誰も教えてくれなかった。
幸せについて考えることも知らぬまま大人になった若者たち。親も兄弟も戻る家もなく、知識も少なければ職業選択の自由もままならない。夢を描くことがどんなことかさえ分からない彼らの心が抱え続けるどうにもならない苛立ちと、深い闇のような孤独。ただひとつ目指した小さな希望さえも打ち砕かれたとき、彼らは何を見るのか・・・。
本作「ケンタとジュンとカヨちゃんの国」、それは、私たちの生きるこの国だ。この国で生きる場所を探して彷徨い続ける私たちの物語だ。本作で、主人公ケンタを演じるのは、故松田優作の次男にして次世代を担う俳優として熱い注目を集め、今や絶大な人気を誇る松田翔太。監督は、「ゲルマニウムの夜」で圧倒的賞賛を集めた大森立嗣。
(c)2010 「ケンタとジュンとカヨちゃんの国」製作委員会