ある夏の日、東京で暮らす小学生の敦は、急死した台湾人の父親の遺灰を届けるため、弟と日本人の母親と3人で、台湾中南部の小さな村を訪れる。“近くて遠かった”父親の故郷では日本語を話す祖父母たちが待っていた。日本統治時代をしなやかに生き抜いてきた祖父母たちの無償の愛、すべてを包み込む雄大な自然に癒され、ゆっくりと一家は「絆」を取り戻してゆく…。
新着映画情報
尾野真千子 |
監督・脚本:川口浩史 |
2009/日本/ヴィスタビジョン(1.85:1)/ドルビーデジタル/116分 |
芥川龍之介 不朽の名作「トロッコ」 ―緑きらめく台湾を舞台に、いま色鮮やかによみがえる。
日本と台湾の才能豊かなキャスト・スタッフが集結し “Made in Taiwanの日本映画”が誕生した。夫を亡くしたばかりの女性、夕美子を演じるのは、カンヌ国際映画祭グランプリ受賞作「殯(もがり)の森」(07)に主演、海外でも評価が高い尾野真千子。今年は本作を含めて3本の主演作が公開予定と、いま最も注目の実視力派女優だ。台湾東部の瑞々しくも幽玄な自然や古い家屋の室内を陰影深く撮り上げたのは、川口監督を台湾に導いたリー・ピンビン。日本映画に参加するのは行定勲監督の「春の雪」(05)、是枝裕和監督の「空気人形」(09)に次いで本作が3本目。トラン・アン・ユン監督の話題作「ノルウェイの森」(10)もリー・ピンビンが撮影を手掛けている。のびやかにして哀愁に満ちた詩情豊かな音楽は、日本を代表するヴァイオリニスト川井郁子が手掛けた。その音色は、郷愁を感じさせる台湾の小さな村すみずみに深く優しく浸透して、感動を倍加させてくれる。
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