バナナ園からスター・プレイヤーへ。PK戦が握る兄弟の人生は・・・
それなりに幸せ!メキシコ北部のバナナ園で喧嘩しながらも楽しく働く兄弟の生活はまさにそんなものだった。若い頃は奔放だった母親の下に生まれた異父兄弟である兄のベトと弟のタトが夢中なのはサッカー。地元チームに所属し、ベトは乱暴なプレイで“ルド<タフな乱暴者>”と呼ばれるゴールキーパー、タトはストライカーとして活躍している。母親と妹、ベトの妻子にタトという大家族の織りなす慎ましい暮らしのなか、ギャンブル癖があるべトはいつか本物のサッカー選手になりたいと願っており、タトはアメリカでカントリー歌手になる夢を抱いていた。
サッカーの試合に向かう二人の前に、サッカー・スカウトのバトゥータが現れ、たまたま彼らの試合を観戦することになった。年齢は若くないものの二人の才能を感じたバトゥータは、どちらか一人なら連れていけるという。兄弟はPK対決で争うことになり「俺の右へ蹴れ!」というベトに、「分かった!」と頷くタト。ところがタトが蹴ったのは自分の右側で、ベトの右側ではなかった・・!見事ゴールを決めてしまったタトだけがメキシコシティへ向かうことになり、ベトは弟のことを裏切り者!となじるのだった。だがチームに入ったもののやる気のないタトはベンチを温めるだけ。バトゥータは、成功したら歌手にならせるという交換条件を餌に奮起させようとする。
バトゥータは、ベトにも2部リーグのキーパーのポジションを見つけてやり、ベトは妻に黙って上京する。だが“ルド”というあだ名が示すように、激しいプレイで相手を潰すベトもまた試合に出られない。やがてようやく出場を果たしたタトが快進撃を見せ、新人王に輝く。タトはその大げさな古くさいプレイで“クルシ<ダサい自惚れ屋>”というあだ名を授かり、豪邸や新車を与えられ、さらに念願のレコード・デビューを果たすことになる。かたやベトもチームが一部昇格を果たすと正キーパーの座に就き、それぞれの夢を実現させていく。
ナショナル・チームのメンバーにまで選ばれることになったタトは、憧れだった宝くじ番組のMCのマヤと交際が進み、セレブカップルとして騒がれる。一方ベトは無失点記録を繰り出して人気が高まるにつれ、反比例してそのギャンブル癖が悪化していったー。
急に昇った運気は下がるもの。タトの恋の熱はプレイに影響し、2軍落ちを仄めかされる。ベトもギャンブルの負けが重なりタトの家財道具まで差し押さえられる始末。追い詰められた二人は、興奮する大観衆が見守る中、再び人生を賭けたPK戦による兄弟対決を迎えることに・・・。