果てることない海のそば。静かに生きる鉄道員のマロワン
鉄道員のマロワンは、毎晩「ガラスの檻」のような制御室に登り、漆黒の港と駅を見下ろしている。ある晩、彼は倫敦から来た男、ブラウンが殺人を犯す現場を目撃してしまう。そして、殺された男が持っていたトランクを、海から拾い上げると、中には大量の札束が入っていた。濡れた札を一枚づつストーブで乾かし、再びトランクに丁寧に戻す。マロワンはその事を、警察に届けたり、同僚に話したりはしなかった。
朝になり、一日の仕事を終えたマロワンは、ホテルにある馴染みのカフェに立ち寄り、裏路地を通って帰路についた。食事を済ませ、妻と少し会話をし、午前中の光がまぶしい寝室のベッドにもぐりこむ。彼はいつものように過ごして、眠りに落ちた。しかし、もはやすべてがいつもと同じではなかった。マロワンの運命はゆっくりと狂ってゆく・・・。