1949年、フランス。かん高い声と185cmの長身。ジュリア・チャイルドは、一度会ったら忘れられない女性だった。その経歴もユニークだ。おカタイ政府機関で仕事一筋だったジュリアは、40歳近くまで独身。ところが突然、同じ職場の外交官のポールと初めての恋に落ちて、電撃結婚。ポールの転勤に伴い、パリにやって来た。
もともと好奇心旺盛で食べることが大好きなジュリアだったが、パリでは料理が芸術であることに感銘を受け、料理学校ル・コルドン・ブルーの、それもプロ養成クラスに通うことを決意する。最初は玉ネギ一つ満足に切れなかったが、自宅でも猛特訓、3週間でかなりの上達を見せる。
めきめき料理の腕をあげていったジュリアは、料理本を執筆中だと言う友人たちと意気投合、この出版プロジェクトに加わることになる。ポールのパリでの任期が終了、世界各地を転々としながら、ジュリアは執筆を続けた。
8年後、ジュリアの大作が、とうとう完成するが、出版社からは長すぎるから原稿をカットしろと突き返される。さすがに落ち込むジュリアだが、「君の本はこれから世界を変える」と優しく励ますポールの言葉に、勇気を取り戻す。そしてある日、ついにジュリアの元に、「出版したい」という一通の手紙が届いた──。
それから、50年後のニューヨーク。29歳のジュリー・パウエルは冴えない気分でいっぱいだった。友人たちはそれぞれ仕事での成功を収めているのに、彼女は小説家になる夢を断念、公共機関に勤め、9.11事件の事後処理に追われている。おまけに住まいはガタガタ揺れるピザ屋の2階。今のままではだめだ。人生を変えなければ──そう思い始めたジュリーは、まだ幼い頃からずっと憧れていた、ジュリア・チャイルドの料理本に載っている全524のレシピを1年間365日で作り、自分のブログにアップしていくことを思いつく・・・。無謀とも思える計画だが、ジュリーは考古学誌の編集者の夫エリックの支えにより、毎日新しい料理にチャレンジしていく。
えてくれた料理の真髄に気付き、最後のラストスパートをかける。
全524のレシピの完全制覇を目前にしたある日、ジュリーの元に、ニューヨーク・タイムズからの取材依頼が──。
生きることを愛さなければ、美味しい料理は作れない──
50年前のジュリアのレシピが、ジュリーの人生を変えようとしていた──。