新着映画情報
矢沢永吉 |
製作・監督:増田久雄 |
2009/日本 |
熱い男の生きざまにシビれろ! 矢沢永吉が、全身でROCKと人生を語る30年間の軌跡。
2008年、矢沢永吉は1年間の音楽活動休止を宣言した。36年間ノン・ストップで走り続けてきた男が、ひとつの節目を前に、自らに休息の時間を与えたのだ。
貧しさが少年に決意をさせた。「絶対に上に行かなきゃダメなんだ」
1972年、日本の音楽シーンは、平和を歌うフォークの全盛期。そんな中、リーゼントに革ジャン、黒ずくめのファッションで、矢沢永吉はR&Rバンド「キャロル」を率いて衝撃のデビュー。解散後、ソロ・アーティストの道を選んだ矢沢は、名実ともにトップスターとなる。しかし得た地位に甘んじることなく、更なる高みを目指し、自分の音楽を追求し続け、2007年12月16日、史上初の武道館100回公演という偉業を成し遂げた。
「E.YAZAWA ROCK」は矢沢を追いかけ、生き様を映し出すドキュメンタリー。筋力トレーニング、レコーディング、リハーサル、ゲネ・プロの現場、そしてオフタイムの矢沢をカメラは追いかけることで、30年間ブレずに生きてきた男をフィーチャーする。
緊張感あふれるライブツアーに向けてのリハーサル風景。容赦なくダメ出ししながら、疲れを見せるスタッフを気遣い、場を盛り上げ、テンションを上げてパーフェクトな音を作り上げていく矢沢の妥協なき姿。映画は、緻密に演出の構成を組み上げていく矢沢の姿と、その演出でいかに観客が熱狂の世界に巻き込まれていくかを丁寧に対比させる。
1979年、30歳の矢沢永吉。“自分で天才と信じてなかったらこの商売やってられないって”・・・自らを奮い立たせるための、嘘偽りない心情の吐露がひんしゅくを買う。ロックへの偏見が各地での会場使用拒否を生む。日本中で非難の嵐が吹き荒れる。「日本はロックがまだまだメジャーじゃない。はっきり言って腹立つことばかり。」 独自の哲学を一挙一動から滲ませ、今につながる意志を貫く当時の姿。現在と比べると、やはり若さゆえの鋭利さが際立ってもいる。そう、これは矢沢永吉の人生を我々が追体験する旅でもあるのだ。
現在。カメラはプライベートな時間、家族への想い、リラックスした矢沢の優しい素振りをすくい取る。
武道館100回公演の幕が開く。矢沢を待ちわびるファンたち。熱気が溢れかえる会場内。暗転し、スポットライトに照らされた矢沢がステージに登場。男の色気を存分に漂わせながらシャウトし、オーディエンスを熱狂の頂きに誘う姿はまさにキング・オブ・ステージ。
そんな白熱のライブシーンを軸に、映画は矢沢の人生を遡る。
1979年、楽屋でのライブ演出について打ち合わせをする姿。
1980年、 アメリカを一人旅し大陸横断バスの中で眠る。
1985年、ロサンゼルスを拠点に、全米を視野に入れて音楽活動を展開する矢沢の姿。
1999年、横浜国際総合競技場で開いた50歳のバースディライブで、名バラード「アイ・ラヴ・ユー,OK」を歌っている途中、感極まって思わず絶句する。
そして矢沢から放たれる言葉の数々。ビートルズに出会った少年時代の衝撃、赤裸々な自己分析、今だから語れる人生についての率直な実感――。
『僕が得たモノ、他人は得れないかもしれないけど。他の人が物凄く一杯持っているモノ僕は持てていない。そう思ったらさ、まぁ僕も誰も彼も、結構イーブンだなと思えた。』
野心に満ちた目で夢を語る若き日の矢沢と、今、60歳を迎えた矢沢が先に見ているもの…。貴重な未公開映像の数々が、30年間の生き様を映し出す。
素顔の矢沢にカメラを向け続けたのは、ドキュメンタリー映画「矢沢永吉 RUN&RUN」(80)プロデューサーの増田久雄。国内外での撮影を交えながら、矢沢を様々な角度で映し出した本作は、ふたりの長年の信頼関係なくしては完成しえない、矢沢永吉という男の「生き様」を刻んだドキュメンタリーとなった。
「60歳になってもロックをやれる、ケツが振れる。それに感謝しないで、何が感謝だ」。こんな台詞をサラっと言ってのけるカリスマは他にはいない。
2009年9月19日、東京ドームでバースディライブ開催。矢沢は、更に上を目指す。