1973年3月、フランスに舞い戻ったメスリーヌは、旧友の“空母”ミシェル・アルドワンと銀行強盗を重ね逮捕される。刑務所からコンピエーニュ裁判所に出頭したメスリーヌは、奇抜な手を使って脱走を成功させ、フランスでも〈社会の敵No.1〉と呼ばれるようになる。そんな彼だが、父親が重病と知ると、医師に変装して入院先に忍び込み、「何があろうとお前は私の息子だ」という父親の言葉に泣き崩れる。9月、パリで新しい仲間を加え銀行を襲うが、新入りは待機中に捕まり、やっとのことで逃走。新入りを信じ込むメスリーヌにアルドワンは愛想を尽かして去っていった。ある日、ついにメスリーヌの隠れ家をブルサール警視のチームが急襲する。ドア越しに初めて対峙するギャングと刑事。女を見逃し、はからずも、証拠書類を焼却できる猶予を与えたブルサールに対し、ドアを開けたメスリーヌはシャンパンで歓迎した。
サンテ刑務所で書き始めた自伝は、77年に地下出版され、そこには犯罪歴が赤裸々に綴られていた。そして法廷で下された判決は懲役20年。しかし必ず脱獄すると宣言するメスリーヌ。 78年3月、サンテ刑務所でメスリーヌは黙々と体を鍛えている男、フランソワ・ベスに出会う。そして二人は、フランス1厳戒な刑務所から脱獄を成功させてしまう。逃亡中の二人はドーヴィルの警察署に刑事の変装をして堂々と現われ、街の警備体制をチェックし、その晩、カジノを襲撃。激しい銃撃戦からやっと逃走し、奇跡的に厳重な包囲網をかいくぐると、ボートで川を下って逃げた。
再び街に戻ったメスリーヌは、シルヴィアと運命的な出会いをする。ロンドンに潜伏し、女性記者からインタビューを受けたメスリーヌは、革命家気取りで自信満々だ。その様子に、慎重に姿を隠そうとする対照的な考えのベスは去っていく。 79年6月、フランス・サルト県の億万長者ルリエーヴルの屋敷に、刑事に変装したメスリーヌと仲間が現われ、誘拐に成功する。値下げ交渉をする億万長者に手を焼きながらやっと手に入れた身代金で、最新モデルの車を乗り回し、高級宝飾店でシルヴィアのために豪華な宝石を買うのだった。 8月にはアナーキストのチャーリー・ボーエルと再会。生き方も考えも違うチャーリーだが、メスリーヌは彼の手を借り、自分をゴロツキ呼ばわりしたジャーナリスト、ジャック・ダリエをおびき出す。ダリエが瀕死の状態で発見されると、マスコミはメスリーヌに対して一斉に非難するようになった。メスリーヌ自身も終わりが近づいていることを感じ、シルヴィアに向けた遺言録音を吹き込む。
11月2日。変装したシルヴィアが犬を抱いて辺りをうかがいながら建物から出てくると、変装したメスリーヌが後に続く。ひっそりとした路地でブルサール率いるチームが息をひそめて動きを見張っているとも知らずに・・・。
新着映画情報
『ジャック・メスリーヌ フランスで社会の敵(パブリック・エネミー)No.1と呼ばれた男ーPart2 ルージュ編』
配 給 : | ヘキサゴン・ピクチャーズ |
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公式HP: | 別ウィンドウで公式HPを表示 |
公開日: | 2009年11月 |
映画館: | TOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー |
ヴァンサン・カッセル |
監督:ジャン=フランソワ・リシェ |
2008/フランス/シネマスコープ/ドルビーデジタル/133分 |
本物のギャングに憧れ、〈伝説の犯罪王〉になった男
世界中が政治や思想闘争に揺れ動き混沌としていた時代、大西洋をまたぐ2つの大陸で〈社会の敵No.1〉と呼ばれたギャングがいた。その名はジャック・メスリーヌ。〈千の顔をもつ男〉の異名を取るほど変装の達人だったメスリーヌは、その人格もまた複雑で、ごく普通の家庭に生まれながらギャングの世界で生きる道を選び、センセーショナルに社会を挑発。まるで映画から飛び出して来たようなギャングの登場に、時代は強烈なスポットライトを浴びせる。が、その一方で彼は、「犯罪社会にヒーローはいない」と自らを冷静に客観視していた。
映画は2部構成になっており、Part1[ノワール編]では、1959年、若き日のメスリーヌがアルジェリア戦争の兵役を終えパリに戻ったあと、ギャングに仲間入りし強盗を重ねる。カナダへの逃亡後、犯罪を重ねて入獄、そして驚異の脱獄によりカナダで〈社会の敵No.1〉と称されるまでを描く。Part2[ルージュ編]では、フランスに舞い戻り、銀行強盗、誘拐、脱獄を繰り返し、フランスでも
〈社会の敵No.1〉と呼ばれる。執拗な警察の追跡から逃亡を続けた彼が、1979年11月2日、パリで警官隊の銃撃により壮絶な最期を遂げるまでを描く。
メスリーヌを演じるのは、「ドーベルマン」「イースタン・プロミス」等で強烈な個性が印象的なヴァンサン・カッセル。20kg増量して臨んだ気迫あふれる演技によってメスリーヌの魅力を21世紀に蘇らせたカッセルは、セザール賞(2009)と東京国際映画祭(2008)で主演男優賞を受賞。