1959年、アルジェリア戦争でジャック・メスリーヌは初めて人を殺した。その後、パリに戻ったメスリーヌは、父親が紹介してくれた堅気の仕事もさぼり、幼なじみのポールの“闇商売”=強盗に手を出したのをきっかけに、さらに犯罪に手を染めていく。
60年、スペインの避暑地。メスリーヌは美しいソフィアに目をとめる。すぐには誘いに乗らなかった彼女も彼の虜になり、いっとき燃えるような日々を過ごす。パリに戻ると娼婦サラのヒモと喧嘩になり、男は腹いせにサラを痛めつけた。それを知ったメスリーヌは、男をナイフで刺し殺しおとしまえをつける。一方、パリまで追いかけてきたソフィアとメスリーヌは結婚し、娘サブリナが誕生する。しかし幸せな結婚生活は長く続かなかった。
銀行強盗に失敗したメスリーヌは、62年に初めてエヴルー刑務所に入る。出所後、一度は堅気の仕事に就くが、運悪くリストラされてしまい、再び悪の世界に・・・。そして、ソフィアはスペインに帰っていった。
66年、酒場で偶然知り合ったジャンヌ。二人は派手な強盗をやってのける息がぴったりのコンビになる。しかし、メスリーヌが路上で狙撃されたのをきっかけに二人はしばらく国外に脱出する。
68年、モントリオールの建設現場で働くメスリーヌはジャン=ポール・メルシエと出会った。その頃、ジャンヌが億万長者デローリエ家で住み込みの仕事を見つけ、メスリーヌと二人一緒に働くようになる。二人とも主人に気に入られていたが、他の使用人とのトラブルからクビになってしまい、主人を身代金目的で拉致する。しかし、身代金の受け取りに失敗し、デローリエにも逃げられてしまう。 69年、二人は逃走先のアリゾナで逮捕される。送還されたカナダの空港にはマスコミが殺到し、二人は一躍有名になった。メスリーヌが送られたのはUSC(特別懲罰刑務所)。肉体以上に精神を痛めつける地獄だ。メスリーヌは再会したメルシエと共に「脱獄か死か」を合い言葉に誓いをたて、仲間の協力もあり、見事脱獄に成功する。二人は、銀行強盗で荒稼ぎして大量の武器を調達、仲間を救出に向かった。しかし刑務所の万全の態勢の前に襲撃は失敗に終わる。マスコミは大胆不敵なメスリーヌを〈社会の敵No.1〉と書き立てたーー
新着映画情報
『ジャック・メスリーヌ フランスで社会の敵(パブリック・エネミー)No.1と呼ばれた男ーPart1 ノワール編』
配 給 : | ヘキサゴン・ピクチャーズ |
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公式HP: | 別ウィンドウで公式HPを表示 |
公開日: | 2009年11月 |
映画館: | TOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー |
ヴァンサン・カッセル |
監督:ジャン=フランソワ・リシェ |
2008/フランス/シネマスコープ/ドルビーデジタル/113分 |
本物のギャングに憧れ、〈伝説の犯罪王〉になった男
世界中が政治や思想闘争に揺れ動き混沌としていた時代、大西洋をまたぐ2つの大陸で〈社会の敵No.1〉と呼ばれたギャングがいた。その名はジャック・メスリーヌ。〈千の顔をもつ男〉の異名を取るほど変装の達人だったメスリーヌは、その人格もまた複雑で、ごく普通の家庭に生まれながらギャングの世界で生きる道を選び、センセーショナルに社会を挑発。まるで映画から飛び出して来たようなギャングの登場に、時代は強烈なスポットライトを浴びせる。が、その一方で彼は、「犯罪社会にヒーローはいない」と自らを冷静に客観視していた。
映画は2部構成になっており、Part1[ノワール編]では、1959年、若き日のメスリーヌがアルジェリア戦争の兵役を終えパリに戻ったあと、ギャングに仲間入りし強盗を重ねる。カナダへの逃亡後、犯罪を重ねて入獄、そして驚異の脱獄によりカナダで〈社会の敵No.1〉と称されるまでを描く。Part2[ルージュ編]では、フランスに舞い戻り、銀行強盗、誘拐、脱獄を繰り返し、フランスでも
〈社会の敵No.1〉と呼ばれる。執拗な警察の追跡から逃亡を続けた彼が、1979年11月2日、パリで警官隊の銃撃により壮絶な最期を遂げるまでを描く。
メスリーヌを演じるのは、「ドーベルマン」「イースタン・プロミス」等で強烈な個性が印象的なヴァンサン・カッセル。20kg増量して臨んだ気迫あふれる演技によってメスリーヌの魅力を21世紀に蘇らせたカッセルは、セザール賞と東京国際映画祭で主演男優賞を受賞。