オランダのアムステルダム。厳格なイスラム教徒の家庭で育ったモロッコ人のドゥーニャと、奔放で直情型の生粋のオランダ娘デイジーは、対照的な性格だが最高の親友同士。今日もまたデイジーは、「ドゥーニャの18歳の誕生日に、運転教習をプレゼントしようと思った」と驚かせる。自分は運転教官と早速いい雰囲気になっているが・・・。そう、今日はドゥーニャの誕生日なのだ。
誕生パーティに集まった親戚は、ドゥーニャをそっちのけで、ドゥーニャの結婚話で盛り上がる。そして顔も覚えていない従兄弟とのお見合い話を決めてしまう。「大学で勉強したい」と抵抗するドゥーニャに、母までも「オランダで育ったのがいけないのか、お前は私の知らない娘になった」と突き放す。ドゥーニャの反対も空しく、結婚を見据えたお見合いのため、一家は故郷モロッコに帰郷することになる。
その頃、デイジーにも深刻な悩みが発生していた。何と例の教官との子供を妊娠したのだ! しかし彼は完全に逃げ腰。デイジーはドゥーニャに病院に付き添って欲しいと頼むが、ドゥーニャはモロッコに帰るからと断ってしまう。ドゥーニャ一家がアムステルダムを旅立つ日、デイジーは見送りに現れない。一人で病院を訪れたデイジーは、土壇場で中絶を止めて逃げ出してしまう。家に帰ったデイジーは、シングルマザーで自分を産んだ母親に「私を産んだことを後悔したことはあるか」と尋ねる。一瞬の無言にデイジーは家を飛び出し、モロッコにいる実の父親に会おうと、ドゥーニャの後を追う。
ドゥーニャ一家はモロッコに着くが、完成しているはずの家が未完成で、一家のテンションは下がり気味。そんな時、大工を請け負ってくれた青年を、ドゥーニャは一目で気に入る。いよいよお見合いの日が近づいて来たある日、何とデイジーが現れる。肌を露出したデイジーは、モロッコで浮きまくり。ドゥーニャの家族は迷惑顔だが、デイジーは何食わぬ顔。そしてお見合い当日。見合い相手をデイジーがコケおろしたことで、ドゥーニャと喧嘩に。遂に居づらくなったデイジーは、まだ見ぬ父を探しにカサブランカへと旅立つ。ドゥーニャは突然お見合いを中座してデイジーを追いかけ、一緒にカサブランカ行きのバスに乗り込むのだったーー。
新着映画情報
『ドゥーニャとデイジー』
配 給 : | ワコー/グアパ・グアポ |
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公式HP: | 別ウィンドウで公式HPを表示 |
公開日: | 2009年11月07日 |
映画館: | 新宿K’s cinemaにてロードショー(他全国順次公開) |
マリアム・ハッソーニ |
監督:ダナ・ネクスタン |
2008/オランダ・ベルギー/ヴィスタビジョン/ドルビーSRD/102分 |
性格は正反対だけど大親友。女の子ふたりの幸せさがしの旅がはじまる
本作は、02年からオランダで放映が開始され、高い人気を誇ったTVドラマ「ドゥーニャ&デイジー」の映画化だ。シリーズはオランダ国内の権威ある賞、最優秀テレビドラマに贈られるゴールデン・スタチュウをはじめ、数々の賞を受賞している。
主人公は、笑い転げているだけの少女でもない、かと言って大人にもなり切れない、揺れる複雑な18歳のドゥーニャとデイジー。育った環境や性格は全く正反対なのに親友同士の2人が、アムステルダムを発ち、波乱に満ちたモロッコの旅の中で、自分探し、幸せ探しを繰り広げる。
一方、ロードムービーならではの、土地それぞれが放つ空気、人々の暮らしぶりを感じられるのも本作の大きな魅力だ。特に、モロッコ最大の都市カサブランカの入り組んだ旧市街は、謎めいたエキゾチックさで見る者を旅情に誘う。極めつけは、2人の旅の最終地点ともなるマラケシュとワルザザートの間にある世界遺産にも登録されている遺跡”アイト・ベン・ハッドゥ”。神秘的で、思わず見る者を厳かな気持ちにさせてしまうそれは、映画「アラビアのロレンス」、「シェルタリング・スカイ」、「グラディエーター」でも撮影に使われた場所である。