![ストーリー](http://www.movienet.co.jp/images/movie_icon_story.gif)
戦乱の世が近づく室町末期。次期官領職を約束された名門・畠山家の長男・信綱と、次男・直光の仲を引き裂いたのは、八代将軍・足利義政の一言だった。先ごろの流行り病で亡くなった大納言の娘・阿古姫を妻にめとり、その財産を受け継いだほうを官領職に就ける、というお達し。兄弟の幼馴染である阿古姫は、今は直光の許婚になっていた。
このままでは、本来自分のものになるはずの畠山家の家督も官領職も、弟に持っていかれてしまうと焦った信綱は、「阿古と一緒になれさえすれば、財産も家督もいらない」という直光の言葉を信じられず、阿古姫を襲い、力ずくで自分のものにしてしまう。それを知った直光は、すぐさま阿古姫を取り戻すが、兄を敵に回し、追っ手を放たれる身に。
二人の家来、幼少時代からの忠臣・景時と兄弟同然に育ってきた桜丸を従え、直光は阿古姫を連れて逃げたが、影時は何者かに切り殺され、桜丸は行方知れずに。二人だけになった直光と阿古姫の前に、大盗賊・多襄丸が現れる。阿古姫は直光の耳に「あの人を殺して」と囁き、ひとり逃げ出してしまう。呆然とする直光だったが、阿古姫を追おうとする多襄丸を小刀でひと突きに。虫の息の多襄丸は「多襄丸を殺した者が、次にその名を継ぐ定め」と言い残し息絶えた。
山中をさまよう直光は、夜盗の一団に取り囲まれ、問われるままに名を名乗るー「俺は...多襄丸」だ。夜盗たちから頭と祭り上げられた直光は「多襄丸」としての人生を生き始める。それは、心の赴くままに生きる、自由で気ままな暮らしだった。
やがて聞こえてきたのは、兄・信綱の急死。そして”弟・直光”がまもなく官領職に就くという噂。一路、屋敷に急いだ多襄丸は、そこで思いもかけない光景を目にする...。