強靭な意志を持ち、剣の達人である忍者、カムイは、理不尽な殺戮もいとわない、掟に縛られた世界に嫌気がさし真の自由を求め、忍の世界を抜け出す。しかしそれは裏切り者として、追っ手と戦う運命を背負うことでもあった。かつての仲間、大頭やミクモらに執拗に追われながらも、生きるための逃亡の旅は続いた。
ある日、半兵衛という漁師を助けたことからその家族に迎え入れられるカムイ。しかし、半兵衛の妻はかつての仲間で、抜忍となった“くノ一”のスガルであった。カムイを追っ手と信じて疑わないスガルは、まったく心を許さない。 その一方で、密かにカムイに恋心を募らせていく半兵衛の娘サヤカ。
そんな時、吉人の密告により、半兵衛が時の藩主・水谷軍兵衛に捕えられてしまう。カムイとスガルは、まずは半兵衛を救出するため、共に処刑場へと向かい奇襲をかけることに。思わぬ展開を楽しむアユや絵師の不気味な笑いがこだまする中、あわやのところで半兵衛を助け出すことに成功する。 新たな生活の場を見つけなければならないカムイと半兵衛一家は、荒れ狂う海に船を漕ぎ出す。沖合で人食い鮫の群れに襲われる一行の窮地を救ったのは、伝説の鮫退治の軍団、不動率いる渡り衆だった。幸島へ向かう途中の不動は、カムイと半兵衛一家を自分たちの千石船に招き入れる。鮫を次々にしとめていく渡り衆を歓迎する幸島の村人たち。突然現れた謎の男たちにカムイは釈然としないものを抱くが、渡り衆が自分と同じ抜忍であることを知り、不動を信じて行動を共にするようになる。サヤカと心を通わせ、人と触れ合う温かさを知り、カムイはつかの間の穏やかな日々に幸せを感じていた。しかし忍群はすぐそこに迫ってきていた・・・。
新着映画情報
松山ケンイチ |
監督:崔洋一 |
2009/日本 |
十七世紀、日本。 貧しい村で、ひとりの男がこの世に生を受けた。男の名はカムイ。
理不尽な階級社会の最下層で少年は たくましく育った カムイの願いはただひとつ。強くなること。
それは、人間として生きること―
「週刊少年サンデー」(小学館)(1965〜67)、「ビッグコミック」(小学館)(1982〜87)に連載され、69年にはアニメ化されるなど一世を風靡した白土三平の傑作漫画『カムイ外伝』が、崔洋一監督(「クイール」「血と骨」)の手により、ついに実写映画化された。 忍者の掟を破り、組織を追われた抜忍、カムイ。これは、時の絶大な権力者や仲間であった忍者から追われ、たった独りで生き抜いていく孤独なヒーローの物語である。 主役・カムイには、「DEATH NOTE 前・後編」(06)、「L change the world」(08)、「デトロイト・メタル・シティ」(08)など、新時代を担う若手No.1俳優として注目される松山ケンイチ。崔監督に「カムイ役はこの男しかいない」と言わしめ、激しいアクションに初めて挑んだだけでなく、孤独感と強さを併せ持つ新しいヒーロー像を作り上げた。そして、ヒロインのスガルには「ラストサムライ」で世界に名を馳せた小雪。更に伊藤英明、佐藤浩市、小林薫。加えて大後寿々花、金井勇太、芦名星、土屋アンナ、そして香港のアクションスター、イーキン・チェンといった主役級実力派俳優の競演が実現。誰が味方で誰が敵か、息詰まる心理戦と、生死を分かつ闘いが繰り広げられる。 脚本は宮藤官九郎と崔洋一。原作のテーマを踏襲しつつ、宮藤ならではの独特なキャラクターや世界観が注入された。崔×宮藤、そしてこれ以上ない俳優たちとの注目のコラボレーション。
【カムイ外伝とは】 伝説の漫画家、白土三平の傑作史劇のひとつ。1964年に『カムイ伝』の連載が開始、翌65年に同作の番外編として『カムイ外伝』が誕生した。『カムイ伝』の累計発行部数は、第1部、第2部合わせて1000万部以上、『カムイ外伝』は320万部を誇り、日本を代表する史上最大の忍者コミックと言っても過言ではない。反差別、反権力などの社会思想が色濃く映し出されている『カムイ伝』に対し、『カムイ外伝』では、抜忍として逃亡を続けるカムイの内面を深く描いている。今回製作された実写映画は、「ビッグコミック」(小学館)に連載された『カムイ外伝』の内、82年4月25日号から12月10日号までの全15回にわたり掲載された『スガルの島』編を原作にとっている。
※ 発行部数は2008年時点