そう遠くない未来、世界はOZで繋がっていた。
誰でもどこでも簡単に電子メールや電子決済、情報検索、公共のサービスが利用できるように、現実と同様の仮想都市OZが作られ、世界の隅々まで行きわたるようになった「現在」。高校2年の夏休みを、OZの保守点検のバイトで無為に過ごしていた小磯健二。取り柄といえば、数学好きなことだが、数学学生チャンピオンの座を取りそこない、自信を失くしかけていた。そんな、人付き合いも苦手な健二が、憧れの先輩、篠原夏希に誘われて長野の田舎へ行くことに。
そこは室町時代から続く戦国一家、陣内家(じんのうちけ)。90歳になるおばあちゃんを筆頭に、医者に漁師に消防士、水道局員、電気店経営、警官や自衛隊の将校、小学生や赤ん坊まで、多彩な「ご親戚」が顔を揃える日だった。健二は夏希のお願いで困惑しながらも、おばあちゃんのために夏希のフィアンセを装う。賑やかな田舎で過ごす夏休み、ようやく陣内家に馴染んだかに見えた健二。その夜、不審な数学クイズのメールを受け取った健二は、数学好きの虫が疼きだし夜を徹して解答する。それが大災難の引き金になることも知らずに…。
もうひとつの世界、仮想都市OZに出現した謎のアバター「ラブマシーン」は、完全無欠と思われていたOZの管理棟のパスワードを、ケンジをはじめとする多くのアバターにクイズ形式で解析させることで、入手することに成功。OZの心臓部である管理棟に侵入し、凶悪な意思のもと、4億人以上のアカウント(仮想都市OZを利用出来る権利)を奪取、現実の世界を大混乱へと導いていくー。