敵でもない、味方でもない、好きでもない、嫌いでもない。 ただ、僕たちは生きるために手を組んだー
ヒョングの仕事は、韓国から日本へ密輸品を運ぶこと。オンボロのボートにひとり乗り込み、日本で成功した”ボギョンおじさん”に荷物と手作りキムチが入った壷を運ぶ。ヒョングの出迎え係は、ボギョンの事務所で働く亨だ。亨はボギョンの息子・隆司の妻・奈美の兄にあたる。いつも「ヨボセヨ(もしもし?)」と挨拶する亨に、ヒョングは呆れたように言うー「それは電話の挨拶だ」。
ある日、ヒョングは自分が麻薬を運ばされていたことを知る。だが、ボギョンはヒョングを「息子のような存在」だと言い、金もくれる。子供の頃、親に捨てられたがそんなに不幸じゃない。ヒョングは楽観的に考えることにした。
次の「荷物」は、明らかに人間の形をしていた。出迎えた亨はヒョングと「荷物」を雑居ビルの空室へ送るが、亨が去った後に怪しい男たちが部屋を急襲する。ヒョングは「荷物」を担いで逃げるが、ふとした隙に今度は「荷物」の中身が消えてしまった。合流した亨と見つけた「荷物」の中身は、韓国人の少女・チス。「パパを見つけてくれたら、5000万円ずつあげる」ー チスの父は保険会社の重役で、ボギョンに利用され会社の金を横領していたが、その金とともに姿を消していた。チスは失踪した父親をおびき出すためにボギョンが誘拐したのだ。
亨はヒョングにチスの父親を見つけて金をもらうことをもちかける。ヒョングが理由を尋ねると「金のためだ」と。亨はヒョングとチスを自宅へ連れていく。漁村の一軒家には、認知症の祖母と幼い兄弟・翔と勇、重病の赤ちゃん、その母親の奈美ら、亨の家族がいた。3人の子供たちは父親がそれぞれ異なり、3人目の赤ん坊が隆司と奈美の子供だという。
家族の大黒柱である亨、生き延びるためにはなんでもしてきたヒョング。二人はどうしようもない現実から脱出するために手を組んだ...