![ストーリー](http://www.movienet.co.jp/images/movie_icon_story.gif)
ロボット設計士のグレイスにとって、それはいつもと何ら変わりない朝だった。徹夜の仕事をこなした彼女は、他界した夫との間にもうけた6歳のひとり娘ティンティンを車で学校に送り届ける。ところがその帰り道、黒ずくめの男たちに拉致され倉庫のような密室に監禁されてしまう。グレイスは、一味がいなくなったすきに粉々に破壊された電話の修復を試みる。
気弱な経理マン、アボンにとって、それは人生の岐路となりうる重大な日だった。たびたび家族との約束をすっぽかして妻に逃げられ、会社からはヤクザまがいの借金取り立て業務を強いられる日々。そんな公私共に絶不調のアボンの心のよりどころは、幼い息子ギットの存在だ。もうすぐ留学先に旅立とうとしているギットが待つ空港に駆けつけ、父親としての信頼を回復したい。それが負け犬人生に浸かったアボンの唯一の願いだった。
グレイスが苦労して配線を接触させて発信した電話は、車で空港に向かう途中のアボンの携帯に繋がった。「助けて....誘拐されたの!」。悪戯と決めつけて顔をしかめるアボンだったが、グレイスと名乗るその女性の恐怖におののく声はあまりにも真に迫っていた。やむなくアボンはグレイスの訴えを聞き入れ、偶然通りかかった交通課の警官ファイに携帯を手渡す。しかしタイミング悪く一味が戻ってきたため、グレイスは事情を説明することができない。血まなこになって何かを探しているらしい一味のリーダーは、グレイスの弟ロイの居場所を執拗に問いつめてくる。さらに冷酷な本性を剥き出しにしたその男は、グレイスの目の前でロイの親友を射殺し、次に最愛の娘ティンティンを殺すと宣言するのだった。
ファイが立ち去った後にその恐ろしいやりとりを電話越しに聞いたアボンは、自分がただならぬ大事件に巻き込まれたことを確信していた。「....あなただけが頼りなんです。娘を救ってください!」。