ランディは、ザ・ラムのニックネームで知られるプロレスラー。全盛期にはマディソン・スクエア・ガーデンを満杯にし雑誌の表紙を飾るほどの栄華を極めたが、20年を経た今は、ニュージャージー周辺のどさまわりの興行に出ている。住まいは侘しいトレーラーハウス。その家賃さえも近所のスーパーでアルバイトをしなければ支払えない状態だったが、ランディには、いまさら別の生き方をする気概もゆとりさえも残っていなかった。
しかし、その考えを改めざるをえない時がやってくる。試合の後で心臓発作を起こしたランディは、「もう一度リングに上がったら命の保証はない」と、医者から引退を勧告されたのだ。退院後、トレーラーハウスに戻った彼は、今の自分には行く場所もなければ頼る人もいないことに気づく。
その孤独をまぎらわそうと場末のクラブを訪れたランディは、なじみのストリッパーのキャシディに発作で倒れたことを話し、「ひとりでいたくないから君と話したい」と訴える。そんな彼にキャシディは「家族に連絡を」と勧めるのだった。
ランディには一人娘のステファニーがいるが、ずっと父親らしいことをしてこなかったせいで心はとっくに通わなくなっていた。迷ったあげく彼は、娘に会いに行くことに。案の定、ステファニーは突然訪ねてきた父親にあからさまな嫌悪をしめした。心臓発作の話も彼女のさらなる怒りを誘発するだけ。「私の知ったことじゃないわ」と、去っていく娘の背中をランディはただ黙って見送るしかなかった。
その顛末を聞き、ランディを不憫に思ったキャシディが父と娘の関係修復に協力する。そして、ランディの第二の人生が少しずつでも順調に滑り出したかに見えたが・・・。
新着映画情報
『レスラー』
原題:THE WRESTLER
配 給 : | 日活 |
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公式HP: | 別ウィンドウで公式HPを表示 |
公開日: | 2009年06月13日 |
映画館: | シネマライズ、シャンテ シネ、シネ・リーブル池袋ほか全国ロードショー |
ミッキー・ローク |
監督:ダーレン・アロノフスキー |
2008/アメリカ・フランス/シネマスコープ/111分 |
人生は過酷である、ゆえに美しい。
80年代に「イヤー・オブ・ザ・ドラゴン」「ナインハーフ」などで人気の頂点を極めたミッキー・ロークだったが、次第に低迷する。91年にはプロボクサーへ転向し、翌92年に来日し1回戦で対戦相手を”猫パンチ”で倒したロークにはもはやスターのオーラはなかった。
本作で、中年の悲哀漂うプロレスラー役に自らの人生を重ね合わせたロークの演技は世界各国で絶賛され、2008年ヴェネチア国際映画祭金獅子賞、2009年ゴールデングローブ賞主演男優賞、2009年英国アカデミー賞主演男優賞などに輝いた。ロークは、人生の光と影を見事に表現したこの人間ドラマで完全復活を遂げた!
(c)2008 OFF THE TOP ROPE, INC. AND WILD BUNCH