世は火種を残しつつも、一時の平和を謳歌していた。
1582年、天下統一を目指した織田信長はその夢目前にして、家臣、明智光秀の謀叛により本能寺で暗殺される。しかし、信長の右腕であった豊臣秀吉が光秀を討伐。その功績をもって信長の後を継ぎ、豊臣政権を樹立する。
世は火種を残しつつも、一時の平和を謳歌していた。とはいえ格差は広がり、景気は悪く、民衆の生活は一向に楽にならない。そこに彗星のごとく現われる一人の義賊。天下の大泥棒、その名は石川五右衛門。超人的な身体能力を武器に、金持ちから盗み、貧しきものに分け与える英雄に庶民は熱狂していた。
ある夜、五右衛門は紀伊国屋文左衛門邸の財宝の中に南蛮製の箱を見つけるが、盗み出した後で中身が空であることを知り、屋根から放り捨ててしまう。それを拾ったのは、貧しい境遇に身を置く小平太だった。
翌日、五右衛門は行動を共にしている猿飛佐助から、石田三成が紀伊国屋邸に乗り込みながら箱を手に入れることが出来なかったため、当代随一の使い手である霧隠才蔵を差し向け、躍起になっていることを聞く。
箱を再び手に入れようと貧民街へ向かった五右衛門は、役人の又八が小平太の母を斬り殺す現場に居合わせる。その瞬間、五右衛門の胸によみがえる、両親を斬り殺された悲しい過去。鬼のような形相で又八の手を斬り落とした五右衛門は、小平太に「強くなれ坊主。そうすれば、何も奪われやしない」と語るのだった。そこへ、彼らを取り囲む才蔵と忍びたち。五右衛門は箱を抱えて駆け出していく。走る五右衛門と追う才蔵。森を抜けて戦うふたりを見つめるのは、かつて2人を信長の忍びとして厳しく育て上げた服部半蔵だった。
石田三成が霧隠才蔵を、徳川家康が服部半蔵を使い、血眼で手に入れようとしている箱。その箱の中には、織田信長暗殺の真の首謀者の名を告げる証拠が隠されていたのだった・・・。