“あの子のために大切にとっておいて。きっと約束を守ってね”― 腹に矢を受け、天を仰いだピストレロの脳裏に、そう囁く美しい女の姿が浮かんだ...。
ピストレロ、ジェント、コマンチのは、バイカー・チーム"ヴィクターズ"のメンバー。対抗するグループ“シックス・シックス・シックス”にメンバーの一員セント・ルーイを殺された3人は、墓場に集い奴らへの復讐を誓った。手始めにトレーラーハウスにいた“シックス”のメンバーたちを血祭りにあげた3人は、そのリーダーであるビリー・ウィングスらを追って、それぞれ復讐の旅に散った。
新着映画情報
『ヘルライド』
配 給 : | ムービーアイ |
---|---|
公式HP: | 別ウィンドウで公式HPを表示 |
公開日: | 2009年01月17日 |
映画館: | シアターN渋谷、銀座シネパトス、新宿武蔵野館ほか全国ロードショー |
ラリー・ビショップ |
監督・脚本:ラリー・ビショップ
|
2008/アメリカ/シネマスコープ/SRD/84分/R-15
|
タランティーノ総指揮。エンジン全開、灼熱の荒野に轟くハーレーの爆音!復讐に燃える男たちの壮烈な死闘が、今幕を開ける-―。
1960年代末から70年代初頭、低予算B級アクション映画の中で"バイカー・フィルム"は、アメリカで最も人気を集めたジャンルの1つだった。そんな中、デニス・ホッパー監督「イージー・ライダー」(69)が公開された。バイカーたちの米大陸横断の旅、夢と挫折を描いたこの映画は、当時湧き起こったアメリカン・ニューシネマ・ブームの波に乗り、世界的な大ヒット作となった。
しかし「イージー・ライダー」の栄光の陰には、今や憶えている者さえほとんどいない、無数のB級〜Z級作品が存在した。革ジャンをはおり、ハーレーにまたがって暴走を繰り返すアウトローたちの物語は、セックス、ドラッグ、ロックンロールといった反体制的なアイテムによって、当時の若者たちに強烈にアピールしたのだった。そんな映画を、当時場末の名画座で見まくっていたのが、"パルプの帝王"クエンティン・タランティーノであった。そして、それらに俳優として出演し、ハリウッドのアウトサイダーとして、今なお己の映画道を歩み続けている男が、伝説的カルト俳優・監督のラリー・ビショップ。本作では監督・脚本・製作・主演の4役を務めている。
「ヘルライド」は、鬼才タランティーノが、自らリスペクトする伝説の男を監督・主演に据え、かつてのジャンルの復活と再生をかけた、バイカー・バイオレンス・アクションの超問題作だ。キャストには、タランティーノの呼びかけに応じ、ハリウッド最強の野獣派が結集した。ラリー・ビショップ以下、タランティーノ一家の若頭、マイケル・マドセン。TVシリーズ「24 Twenty-Four」のエリック・バルフォー。「ミーン・マシーン」のヴィニー・ジョーンズ。そしてデイヴィッド・キャラディン、デニス・ホッパーという両ベテランも乱入。
「ヘルライド」は、そのあまりに反時代的な内容ゆえか、全米ではわずか2週間で打ち切りとなった。批評家からも黙殺同然の扱いを受けたこの映画はしかし、タランティーノ自身が放った「デス・プルーフinグラインドハウス」の試みに連なる、"トラッシュ・レボリューション"とでもいうべき野心作である。ダイヤモンドかトラッシュか―。この映画の価値は、興行成績だけでは計れない、そこに脈打つグラインドハウス魂にこそある。