ジェームズ・ボンドは、かつてない怒りと悲しみに震えていた。初めて愛し、運命を共にするはずだった女ヴェスパーが自分を裏切り、自らの命を絶った。確かにそこに愛はあった...。彼女は闇の組織に利用され、操られていたのだ。
ボンドと彼の上司Mは真相を暴くため、ヴェスパーを操っていたミスター・ホワイトを尋問する。彼の背後には、2人の想像を遥かに超える、巨大で危険な組織が存在していた。捜査のためにハイチに飛んだボンドは、奇しくも知り合ったカミーユという女を通じて、組織の幹部ドミニク・グリーンに接近する。グリーンの表の顔は、慈善団体グリーン・プラネットのCEO。主な活動は、環境保護のために土地を買収する公益事業だ。 ボンドは、物腰も穏やかなこの男の恐るべき陰謀を突き止める。グリーンは、ボリビアの現政権を転覆させ、組織の息のかかったメドラーノ将軍に新政権を握らせ、その国に眠る貴重な天然資源を完全支配しようとしているのだ。それに成功すれば、やがては世界の支配にもつながっていく...。Mがボンドに与えた任務は、グリーンの陰謀を完璧に阻止すること。ミッションを遂行しながらも、心に刻まれた傷の痛みが、ボンドを復讐へと駆り立てる。
一方、勝気で謎めいた女カミーユも、ボンドと同じように、愛する家族の命を奪われた過去を秘めていた。彼女はその日から、復讐のためだけに生きてきたのだ。傷ついた心を慰めあうかのように、2人は行動を共にし、次第に惹かれ始める...。 グリーンの計画は着々と進み、CIAや英国政府の人間すらも取り込んでいく。私的感情により理性を失いかけた状態で、ボンドは任務を果たすことができるのか?