ニューヨーク郊外の小さな宝石店に男が押し入った。銃を突きつけ店員の女性を脅しながら、次々と宝石を袋に詰めていく。隙を見つけた店員が男に発砲。男も撃ち返す。倒れる二人。
店の外で待っていた共犯者は、強盗が失敗に終わったことを知り、あわてて車を走らせながら叫んだ。「なんてバカなんだ!」
強盗3日前ー ハンクは週末を娘と過ごしていた。離婚した妻からは養育費の支払いが遅れているのを責められている。そんな彼に、兄アンディが強盗計画を持ちかけた。悩んだ末ようやく決心したハンクに、アンディは狙っている店を告げる。それは両親が経営する宝石店だった。怖じ気づくハンクにアンディは「お互いに金が要る。そう大した犯罪じゃない」と前金をちらつかせ説得するのだった。
強盗4日前ー 会計士のアンディは、美しい妻ジーナとマンハッタンのアパートメントに住み、一見だれもが羨む生活を送っている。だが実際は、ドラッグに溺れ、会社の金を横領していたのだ。
そんな時、国税局の調査が入ることを知る。このままでは横領がばれてしまう...アンディはつぶやく「俺の人生はパーツがバラバラでつながらない。出てくる結果が合計にならないんだ」
アンディとハンクは強盗が失敗に終わっただけでなく、撃たれたのが自分達の母親だと知って愕然とする。打ちひしがれる父親のチャールズは、新聞で犯行記事を読み、事件に疑問を抱きはじめていく。一方、ハンクは共犯者の家族から恐喝されていた。アンディもまた会社から帳簿の穴を問われ、二人は急速に追いつめられていく...。
新着映画情報
『その土曜日、7時58分』
配 給 : | ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント |
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公開日: | 2008年10月11日 |
映画館: | 恵比寿ガーデンシネマほか全国順次ロードショー |
フィリップ・シーモア・ホフマン |
監督:シドニー・ルメット |
2007/アメリカ/ヴィスタビジョン/ドルビーデジタル/117分/R-18 |
1957年の「十二人の怒れる男」からはじまり、「セルピコ」「狼たちの午後」「ネットワーク」と半世紀以上もの間、緻密かつ硬派なドラマを撮り続けてきた現在84歳の名匠シドニー・ルメット。彼が監督45作目に選んだのは、斬新でスリリングな展開と重厚な人物描写が同居する緊迫した人間ドラマだった。
本作で最初にキャスティングされたのは、「カポーティ」でアカデミー賞主演男優賞を獲得したフィリップ・シーモア・ホフマン。「現在のアメリカで最高の俳優の一人」と呼ぶ彼に、弟役ではなく事件の首謀者である兄を演じさせ、今や監督・作家としても活躍するイーサン・ホークに気弱な弟役をあてたところに、配役の妙がある。それによって家族の関係性にダイナミクスが生まれ、さらに様々な人物の視点と心情がフラッシュバックで明らかになるにつれ、“何がこの二人を駆り立てたのか”が重層的に掘り下げられていく。
原題"Before the Devil Knows You’re Dead"(死んだのが悪魔に知られる前に)は、脚本家ケリー・マスターソンが、アイルランドの古い乾杯の音頭“死んだことを悪魔に気づかれる30分前に天国に行けますように”からつけたタイトル。