『ワンダーラスト』 FILTH AND WISDOM 配給:ヘキサゴン・ピクチャーズ 公式サイト:http://wonder-lust.jp 公開日:2009年1月17日 ヒューマントラストシネマ渋谷(旧渋谷アミューズCQN)ほか全国順次ロードショー
ユージン・ハッツ ホリー・ウェストン ヴィッキー・マクルーア リチャード・E・グラント インダー・マノチャ エリオット・レヴィ フランチェスカ・キングドン スティーブン・グラハム ハンナ・ウォルターズ ショーブ・カプール エイド
監督:マドンナ 脚本:マドンナ ダン・ケイダン 撮影:ティム・モーリス=ジョーンズ 編集:ラッセル・イック
2008/イギリス/ヴィスタビジョン/ドルビーデジタル/84分
四半世紀以上にわたってショウビジネスの頂点に君臨するポップスター。タブーに挑み続ける希代のセックスシンボルにして、政治家以上の影響力を持つオピニオンリーダー。世界でもっとも多くの称賛と批判を浴びながら、歌手、ダンサー、女優、絵本作家として新しい価値観を打ち出してきたマドンナが、念願の映画監督デビューを果たした。 ロンドンの片隅。ウクライナ移民のAKはミュージシャンとしての成功を、ホリーはバレエの舞台で踊る日を、ジュリエットはアフリカの貧しい子供たちを救うことを夢見ながら、理想からは程遠い現実を生きている。コインの表裏のように一体である"filth=堕落"と"wisdom=賢明"のあいだを彷徨いながら、いつ叶うとも知れない夢を追いかける毎日。何をしてもうまくいかない。でも、努力する姿はきっと誰かの心に届いている。希望の光は、暗闇の中でこそ見出せるもの。 マドンナ自身を投影させた3人の若者を主人公に、成功への渇望や家族との確執といった普遍的な青春の葛藤と、多民族社会や貧困問題といった現代社会のテーマを鮮やかに描き出した本作は、気鋭作家によるインディペンデント作品が集うベルリン国際映画祭パノラマ部門で初披露され、舌鋒鋭い批評家たちから喝采を受けた。「ただの映画監督としてデビューしたかった」というマドンナの夢がまたひとつ、実現したのだ。
ルームメイトのひとりで、AKが密かに恋心を寄せるホリーは、長年バレエに打ち込んできたが、ロイヤル・バレエ団で踊る日はやって来そうにない。家賃を払えなくなった彼女は、AKの提案により、その「宝物がつまった体」を使って生計を立てることを決意し、ストリップクラブのポールダンサーのオーディションを受ける。渋々飛び込んだポールダンスの世界は想像以上に厳しくかつ深く、ホリーは先輩ダンサーのフランシーヌの指導のもとで練習に没頭していく。そして同時に、男のボスのあしらい方といった仕事のコツもおぼえていくのだった。
AK、ホリー、ジュリエットは困った時は協力し合う仲だが、女性ふたりはAKが何かとウクライナの格言を持ち出すことにはうんざりしている。AKの格言を喜んで受け入れるのは、アパートの階下に住む目の不自由なフリン教授ぐらいだ。フリン教授はかつて作家、詩人として名声を得ていたが、視力を失って以来、創作意欲をなくし、世捨て人のような生活をおくっていた。彼のために買い物をして小銭を稼いでいるAKは、ある日、教授の本棚に『ワンダーラスト・キング』と題された彼の著書を見つける。"究極の美女を探し求めて世界中を旅する欲望の王……"。その言葉に触発されたAKは、フリン教授を絶望から救い出し、また彼の才能を音楽を通して伝えようと試みるのだった...。