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(c)2008 森 博嗣/『スカイ・クロラ』製作委員会 |
物語は、主人公カンナミ・ユーイチが、欧州の前線基地「兎離洲」ウリスに配属されてくるところから始まる。
ユーイチには、その基地に赴任する以前の記憶がない。同僚たちは彼を見て意味ありげな表情を浮かべるが、それ以上、何も語ろうとしない。
ユーイチが知っているのは、自分が《キルドレ》であるということと、戦闘機の操縦の仕方だけ。初めて乗るはずの機体は体になじみ、その優れた戦闘能力は、すぐにユーイチをエースパイロットの座へと押し上げた。
そんなユーイチを、熱いまなざしで見つめるひとりの女性がいた。
基地の司令官であるクサナギ・スイト。彼女もかつてはエースとして戦ったキルドレのひとり。
まるでずっと、彼を待ち続けていたかのようなスイトの視線に戸惑いながらも、ユーイチはスイトに惹かれてゆく。
一方、基地を取り巻く戦況は日増しに厳しくなっていった。同僚パイロット・ユダガワの死。
ユダガワを墜としたのは、機首に黒豹のマークが描かれた「ティーチャー」と呼ばれるパイロット。彼は、絶対に勝てない敵として大空に存在する「大人の男」なのだった。反撃に向かい、怪我を負って帰還するスイト。
平和な大人たちの求める大規模な攻撃プロジェクトの中で、仲間が次々に失われていく中、基地に新たなパイロットが増員されてくる。新任のパイロットが新聞を几帳面に折りたたむのを見たユーイチは、それが、かつて共に戦ったユダガワの癖だったことに気づく。
蘇ってゆくユーイチの記憶。キルドレが背負った、悲しく、切ない宿命の真実とは...。
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