1970年代のフォークソング全盛期に青春を謳歌した団塊世代の多くは、今、親となって（独身でも）それぞれの人生を歩んでいる。その一人、香取卓（52歳）とその家族の悲喜こもごも、愛情溢れる日々を「今日までそして明日から」「落陽」「明日に向かって走れ」「結婚しようよ」など数々の吉田拓郎ヒット曲で描いた涙と笑いの感動編。

不動産会社に勤める平凡なサラリーマン香取卓の一家は、今どき珍しく毎日欠かさず家族揃って夕食を共にしていた。専業主婦の妻と二人の娘。長女、詩織は大学４年生ですでに就職も決まっている。次女の歌織はスターを夢見てバンド仲間と活動している。
　会社帰りの駅前で、卓は充という青年と知り合いになり、我が家の夕食に誘った。 　 充は10年前の阪神大震災で家族を失い、上京して一流の蕎麦打ち職人を目指していた。食事は毎日毎食コンビニ弁当。そんな充に心優しい詩織が同情した。一方、歌織はバンドがライブハウスのオーディションに合格し、これまでのように早い時間に家に帰ることができなくなった。
一家団らんの夕食に黄色信号か。