現代社会を生きる庶民の悲喜こもごもを、絶妙な観察眼で写し取った新作落語で人気の噺家、立川志の輔。その中でも名小噺といわれる「歓喜の歌」を、「東京タワー　オカンとボクと、時々、オトン」の松岡錠司監督が映像化。
　主人公の公民館主任に小林薫、ママさんコーラスの各リーダーに安田成美と由紀さおり、その他個性的なキャストに加え、立川志の輔、立川談志、リリー・フランキーも出演している。

小さな地方都市、みたま町。そこの文化会館勤に勤める飯塚主任は、まるでやる気のない公務員。口癖は「決まりは決まりです」。自分にはすこぶる甘い彼は、外国人ホステスに入れあげ、その挙句、半年ほど前に市役所から飛ばされてきたのだった。
　暮れも押し迫った12月30日の朝、飯塚主任が事務所で１本の電話を受ける。明日大晦日の『みたま町コーラスガールズ』の予約の確認だった。「はいはい、大丈夫ですよ」答える主任の傍らで、部下の加藤青年が真っ青になっていた。彼の方は『みたまレディースコーラス』をブッキングしていたのだ。似たようなコーラスグループ名を混同してしまった彼らは、大晦日のホール予約をダブルブッキングしたまま、半年間も気づかないでいたのだ。 まさに緊急事態発生だが、「まぁ何とかなるだろ、ママさんコーラスなら。どうせオバサンたちが暇つぶしでやってんだから...」という主任の思惑は、事務所にやってきた各グループのリーダー、二人の"ママさん"によって、もろくも打ち砕かれてしまう。 一歩も譲ろうとしない両者、大晦日に「歓喜の歌」は鳴り響くのだろうか．．．。