『母べえ』 配給:松竹 オフィシャルサイト:http://www.kaabee.jp 公開日:2008年1月26日 丸の内ピカデリー2ほか全国ロードショー
吉永小百合 浅野忠信 檀れい 志田未来 佐藤未来 坂東三津五郎 中村梅之助 戸田恵子 大滝秀治 笑福亭鶴瓶
2007/日本/132分
「家族」というテーマは、山田洋次監督が折々の時代に大切に描いてきたテーマである。1970年には『家族』で、高度経済成長期の真っ只中、長崎から北海道へ移動する道中、幾多の困難に出会いながらも生きる希望を捨てない家族を描いた。1991年の『息子』では、バブル崩壊後、田舎と都会に離れ離れに暮らす父と息子が、一度は切れかけた絆を取り戻していく姿を描いた。 本作で描かれる昭和15年から16年は、日本が太平洋戦争へと歩みを進めていく不穏の時代。国際情勢の変化や不安定な政情の中、人々が先行きの見えない不安、先行きへの不安を抱えているという点で、現代とも重なる時代だといわれている。しかし、現代とは違い、そこには人と人との絆があった。ちゃぶ台を囲む家族の団欒、開け放たれた風通しの良い縁側は、他人同士でも気軽に入り込み、助け合える交流の場でもあった。そんな今日の日本が失いつつある心を描き、困難な時にこそ何を信じ、守るべきかを問いかける感動作。