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『ゆれる』

配給:シネカノン
オフィシャルサイト:
http://www.yureru.com/
この映画の予告編はこちらから


キャスト スタッフ データ
オダギリジョー
香川照之
伊武雅刀
新井浩文
真木よう子
木村祐一
ピエール瀧
田口トモロヲ
蟹江敬三
監督、原案、脚本:西川美和
プロデューサー:熊谷喜一
企画:安田匡裕
    是枝裕和
撮影:高瀬比呂志
編集:宮島竜治
美術:三ツ松けいこ
音楽:カリフラワーズ

2006/日本/カラー/1:1.85/
ドルビーSR/1時間59分


イントロダクション
「『蛇イチゴ』で印象的な監督デビューを飾った西川美和監督が兄弟の関係を軸に“人間の不確かさ”、“つながりの不確かさ”という“ゆれる”心から様々なものが立ち上る様を描いた傑作ヒューマン・ドラマ」
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(C)2006『ゆれる』製作委員会
 タイトルは忘れてしまったが、デビュー作がどのようにして生まれてきたかという様々な監督へのインタビューをまとめた本は面白かった。評価されようが、されまいがデビュー作というのはそれぞれの監督にとって思い入れがあり、そこを足掛かりに彼らのキャリアは始まっているのだから尚更である。しかもデビュー作には自分自身が撮りたいと長い間暖めてきた想いが込められている。試行錯誤をしながらもデビュー作はそうした強い気持ちのもとに生まれてくるはずだ。だからこそ、映画監督としてはその次の作品が大事になってくると思う。今回紹介する『ゆれる』は注目すべき映画監督の長編第2作目に当たる作品である。
  その監督の名前は西川美和。長編監督デビューとなった作品『蛇イチゴ』で第25回ヨコハマ映画祭の新人監督賞、日本映画プロフェショナル大賞の新人監督賞、第58回毎日映画コンクールの脚本賞、スポニチグランプリ新人賞などを受賞し、高い評価を獲得。その後、オムニバス作品『female/フィーメイル』にも参加している。そして、待望の長編第2作目が、この『ゆれる』になるわけだ。
  物語はひとりの売れっ子カメラマンが帰郷することから始まる。彼の実家では母親の一周忌法要が行われている。そこに遅れて到着した彼は父親とひと悶着を起こす。母親の葬式にも帰ってこなかったこと、天狗になっていることを父は責め、彼は生前の母親に対する父親の態度を責める。そんな身内の醜態を取り繕うのが彼の兄である。兄は父親の稼業であるガソリンスタンドを継ぎ、母親亡き後の家事も受け持っている。そのガソリンスタンドには彼の幼馴染の女性が働いている。兄は彼女に想いを寄せているようだが、彼はその女性と寝てしまう。
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(C)2006『ゆれる』製作委員会
  ひとりの女性を巡る兄と弟の物語。この始まりの部分だけを観れば、そう思うかもしれない。でも、物語は別の方向へと歩みを進め始める。弟の本当に久々の帰郷、幼馴染との肉体関係が全く想像すらしていなかった作用を生じさせるのだ。幼馴染と寝る事に関して弟には大した意味はない。東京の事務所には一緒に暮らす関係の彼女もいる。唯一、意味があるとすれば兄と彼女の仲睦まじいような関係への嫉妬、嫌がらせでしかない。でも、彼女はそのことで本気になってしまう。その本気さを彼への愛情以上にこの腐った田舎町を脱出するきっかけへしようとしていく。そこを弟は本気で受け止めるつもりなどなく、わずらわしく思うだけだ。彼女に想いを寄せている兄はそんなことなど知る由もない。翌日、3人で渓谷へとちょっとしたピクニックに出かけたときに悲劇が起きる。女性と怖がりの兄が吊り橋を渡っているときに女性が落下して死亡してしまうのだ。事故か、事件かという中で兄は自首をし、弟は兄を救おうと動き始める。本当の物語が始まるのはここからである。そこにあるのは兄と弟という兄弟の中にある関係、兄弟、身内だから絶対だと思われながらも、実はすぐにでもプッツンと断ち切れてしまうほど危うく、でも強い関係である。それはオープニングの法事のシーンでの父と弟の対立関係、兄の裁判を担当する父の兄と父の関係、亡くなった女性と別れて暮らす再婚した母という関係にも現れている。
  西川美和監督は前作の『蛇イチゴ』と同様にこの作品がある晩に見た夢がきっかけとなったと語っている。その夢の印象はあまりにも強烈でそれまでに1年もかけて取り組んでいたハッピーな物語のシナリオのプランまで捨て、結果的には前作以上に重さのある「人間の不確かさ」と「つながりの不確かさ」というものがテーマとなるこの作品へと取り掛かることになった。
  「人間の不確かさ」、「つながりの不確かさ」を表すかのように作品のタイトルは『ゆれる』となっている。物語の中では様々なものが“ゆれる”。吊り橋、携帯電話のバイブレータ、川の水、ブランコ、水道のホース、現像液・・・・、そして何よりも揺れるのは登場人物たちの心であり、観客である私たちの心である(究極的には映画のフィルムも揺れであり、その象徴のように物語の中では8ミリ映写機が効果的に使用されている)。実はこの事件も兄の自首があったもののそれが真実なのかどうか分からない不確かさ“ゆれる”ものを持っている。拘置所の面会室での会話は面倒見の良かったの兄と自分勝手だった弟という立場すら入れ替わり、それが本性なのかどうかも分からないものが表出し、互いの立場が“ゆれる”。唯一残っているのは兄弟という確かかもしれないが不確かな絆だけである。
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(C)2006『ゆれる』製作委員会
  兄を演じる香川照之、弟を演じるオダギリジョーの圧倒的な素晴らしさはもちろんだが、彼らに“ゆれる”ことを生じさせる女性を演じる真木よう子、不器用な父親役の伊武雅刀、ガソリン店で働く青年の新井浩文、弁護士役の蟹江敬三、検察官役の木村祐一などの脇の役者陣も本当に光っている。特に物語のキーとなる役を演じた真木よう子、検察官といういやらしさを前面に出す木村祐一、新井浩文の真摯な態度などは深く印象に残るはずだ。
  こうした役者の素晴らしさと共にオープニングの車で帰郷していく運転のシーンから映像的センスにも引き寄せられていく。特に何気ない続いてきた日常のシーン、物語の隙間、隙間から登場人物たちの心を代弁するように立ち上がってくる何気ないシーン、あるシーンが全く違うシーンに重なっていく部分などは本当に深い味わいを持ち、染み渡ってくる。役者への演出も含め、こうした部分には西川美和監督の圧倒的な成長を感じざる得ない。
  物語は裁判へと入り、兄弟の“ゆれる”気持ちを経て、印象的な、素晴らしいエンディングへと向かっていく。ここで“ゆれる”ものは止まったのだろうか?それはこちら側が描けばいいのだ。
  役者の演技、かっちりとした映像と隙間から立ち上る空気が一体となった本当に素晴らしい「人間の不確かさ」、「つながりの不確かさ」を描いた作品である『ゆれる』、ぜひ、劇場に脚を運んで下さい。

ストーリー
「久々の帰郷、兄、父、そして幼馴染の女性との再会、全てはそれがきっかけだった」
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(C)2006『ゆれる』製作委員会
 売れっ子カメラマンである早川猛は母親の一周忌法要のために久々の帰郷をする。実家のある町で、彼はガソリンがなくなってきたためにガソリンスタンドに立ち寄る。そこには見覚えのある女性が働き、相手もそれに気づいたようだが、彼は黙って車を走らせる。実家に到着した彼を待っていたのは父親の嫌味だった。母親の葬式にも帰ってこず、浮ついた仕事をしているという父親に対し、猛は母親が生きているときに父親がどんなに酷い扱いをしたかと話し出す。それを取り繕うのは兄の稔だった。兄は猛に幼馴染の智恵子が自分のガソリンスタンドで働いていることを告げる。猛は知らないふりをするが、実はあのガソリンスタンドでその存在に気づいていた。
  法事の後、ガソリンスタンドに出向いた猛は兄に仕事の終わった智恵子を送ると話し、彼女のアパートでベッドを共にする。帰宅したのは夜中、猛は待っていた兄に適当な言い訳をする。
  翌日、3人は渓谷へ遊びに行く。はしゃぐ兄に対し、智恵子と猛はどことなくさめていた。智恵子は東京に連れて行ってと猛に頼むが、猛はそれを無視して吊り橋を渡っていく。そして、智恵子が猛を追い、吊り橋を渡り始めたとき、ある出来事が起こる。
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