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『美しき運命の傷痕』

配給:ビターズ・エンド
オフィシャルサイト:
http://www.utsukushiki.jp/
この映画の予告編はこちらから


キャスト スタッフ データ
エマニュエル・ベアール
カリン・ヴィアール
マリー・ジラン
キャロル・ブーケ
ジャック・ペラン
ジャック・ガンブラン
ギョーム・カネ
ミキ・マノイロヴィッチ
マリアム・ダボ
ガエル・ボナ
ジャン・ロシュフォール
監督、脚色:ダニス・タノヴィッチ
プロデゥーサー:
  チェドミール・コダール
  マルク・バシェ
原案:
  クシシュトフ・キエシロフスキー
原案、脚本:
  クシシュトフ・ピエシェヴィッチ
撮影: ローラン・ダイヤン
編集:フランチェスカ・カルヴェリ
プロダクションデザイン:
  アリーヌ・ボネット
衣装:
  カロリーヌ・ドゥ・ヴィヴェーズ
音楽: ダスコ・セグヴィッチ

2005/フランス、ベルギー、日本/
35ミリ/カラー/シネマスコープ/
ドルビーデジタル/1時間42分


イントロダクション
「亡くなってからも多くのファンをひきつけるポーランド映画界の巨匠クシシュトフ・キェシロフスキ監督。彼のもとに残された3部作の遺稿のひとつ「地獄」を『ノー・マンズ・ランド』のダニス・タノヴィッチが見事に映像化」
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 数々の傑作を残したポーランド映画界の巨匠クシシュトフ・キェシロフスキが亡くなってから、すでに10年以上の歳月が経った。結果的に遺作となった『トリコロール』3部作は女優の豪華さもあり、映画好きの間以外でも大きな話題となっていたことを考えると本当にこれからというところでの死だった。亡くなったキェシロフスキの手元にはこれから撮るはずだったダンテの「神曲」に構想を得た「天国」「地獄」「煉獄」と題された3部作の遺稿が残されていた。キェシロフスキという名がつく作品としてはきっと最後になるであろうこれら3部作の「地獄」が映画化された。それが今回紹介する『美しき運命の傷痕』である。
 ご存知の方も多いだろうが、この3部作のうち「天国」はすでに『ラン・ローラ・ラン』で世界的な評価を獲得したドイツ人監督トム・ティクヴァによって2002年に映画化され、公開されている(邦題『天国』)。この『天国』にはキェシロフスキが盟友ともいえるパートナーのクシシュトフ・ピエシェヴィッチと書き続けていた脚本が存在していたが、「地獄」の『美しき運命の傷痕』は原案があったのみ。この原案を脚本化したのはもちろん、キェシロフスキと共にあの映画の世界を作り上げていた盟友クシシュトフ・ピエシェヴィッチ。そして監督を引き受けたのは長編デビュー作『ノー・マンズ・ランド』でアカデミー賞外国映画賞、カンヌ国際映画祭脚本賞をはじめ、世界中の映画祭で受賞及び絶賛を浴びたダニス・タノヴィッチである。『ノー・マンズ・ランド』以降、世界中の選び抜かれた映画監督による短編オムニバス『11'09''01/セプテンバー11(イレブン)』への作品の提供はあったものの、音沙汰らしいものもなかった彼が選んだ作品が、この『美しき運命の傷痕』でもあるのだ。ダニス・ダノヴィッチ監督はこの作品を撮ろうと思った理由について「『ノー・マンズ・ランド』の撮影前、最初に読んだときには「煉獄」に惹かれたんだ。テーマが戦争でそれが直接心にひっかかってね。『ノー・マンズ・ランド』の成功のおかげで、プロモーションで1年ほど世界を周り、帰ってきて、新しい企画に入ったが、主演女優の妊娠で延期せざる得なくなった。そこで「地獄」のシナリオを再検討してみてはという話があった。再読してみて、主題が以前とは違ったイメージで響いてきて、新たに主題の中心が見えてきた。とりわけ女性の登場人物の内面的なアプローチに惹かれたんだ。これまでの僕の作品は戦争の葛藤の中にいる男性を扱ったものだったからね。」と語っている。この間には結婚、子供の誕生と彼自身が人生の大きな変化を体験しており、そのこともこの大きな変化に繋がってきている。こうした変化は体験的に分かる人も多いだろう。
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  タノヴィッチ監督が「女性の登場人物の内面的なアプローチに惹かれた」というこの作品はそれぞれに満たしたくても満たされない愛を抱えながら生きる3姉妹の物語である。売れっ子カメラマンの夫とふたりの子供と暮らす長女は夫が浮気をしているのではないかという疑念に苦しみ続けている。もちろん、夫との肉体関係は長い間ない。小さなアパートメントにひっそりと暮らす次女は毎週のように施設にいる母親のもとを訪ねている。でも、母親との間には会話らしい会話もない。大学生である三女は教授と不倫関係にあるが、その関係も一方的に終わりを告げられようとしている。ひっそりと暮らす次女以外は、自分が守ろうとしていた世界を失うかもしれない淵に立たされている。逆に次女の前には自分の人生には関係がないとすら思っていた男性が突然、現れる。この3姉妹と母親に関係を結ぶ線はこの男性の登場から始まっていく。それは彼女たちに決定的な影響を及ぼしたある過去の出来事、その解明へと繋がっていくのだ。そして、彼女たちが執拗なくらい現状の愛に固執する理由もそうした決定的な過去があったからだということが見えてくる。
  作品の前半はフランス映画的な愛が壊れていく様子とその抵抗が描かれている。長女と三女にとってそれは修羅場、「地獄」である。母親との会話がなく、日々を目的もなく暮らし続けなければならない次女の生活も押し込められたような「地獄」だ。でも、この「地獄」のような日々を生み出した遠因、押し隠してきた過去の出来事がふとした瞬間から明らかになる。それは彼女たちの呪縛を解き放つ。そして3姉妹は久々の再会を果たし、母のもとへと向かっていく。しかし、余りにも痛烈なドラマはそこで起こるのだ。
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  映画はひとりの男が刑務所から出生するシーンで始まる。出所なのに迎えもいない男は地上へと落ち、死ぬしかないカッコウのヒナ鳥を巣へと戻してやる。これは男の優しさであるが、カッコウは他の鳥の巣で生まれ、そこにある残りの卵を捨て去ることで生き延びていく。映画の中にはこうしたメタファーが盛り込まれ、後のシーンへと繋がっていく。その中でも最も印象に残るのが映画のオープニングテロップでも、物語の小道具としても使用される万華鏡だろう。万華鏡の中には無限(夢幻)の美が拡がっており、その美はちょっと回転させるだけで様々な形へと変化していく。万華鏡が回転し、その美を変化させていくように彼女たちの人生も刻々と変化し続けていく。しかし、穴の中にしかない美の外側には広大な現実も横たわっている。
  エマニュエル・ベアール、カリン・ヴィアール、マリー・ジラン演じる3姉妹、キャロル・ブーケが演じる母親という役者陣、ダニス・タノヴィッチ監督が生み出した映像の素晴らしさが一体となったこの作品に草葉の陰でキェシロフスキが満足していることは間違いないだろう。前半はちょっと退屈かもしれないが、中盤以降にはズドンとくらうような人間の心の闇のドラマが待っているこの作品はやはりキェシロフスキ以外の何者でもないのかもしれない。この作品をきっかけに多くの監督たちが影響を受け続けているキェシロフスキの世界に入っていくのもいいと思う。ぜひ、劇場に足を運んでください。

ストーリー
「それぞれに大きな悩みを抱えて暮らす3姉妹。ある日、彼女たちの心の奥に押さえ込んでいた出来事が明らかになる」
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 ひとりの男が刑務所から出所する。出迎えもない男は地上へと落ちていたカッコウのヒナを巣へと戻してやる。
 車椅子に乗せた年老いた女性を散歩させている女性がいる。彼女の名はセリーヌ。車椅子に乗っているのは母親である。毎週のように彼女は母がいる施設を訪れ、彼女を散歩へと連れ出す。いつものようにテーブルでチョコを頬張り、読書をするふたり。母親は他の子供たちはいつ来るんだろうと呟く。セリーヌは3姉妹の次女なのだ。
  長女のソフィはカメラマンの夫、ふたりの子供と暮らしている。しかし、夫婦関係はうまくいっていない。夫は浮気をしているのだ。彼女は夫をつけ、その決定的な現場を押さえる。しかし、彼女はまだ夫にどこか期待し、裸で夫の眠るベッドへと潜り込む。しかし、その反応は全くない。
  三女の大学生のアンヌは歳の離れた、妻子ある大学教授と不倫関係にある。しかし、その関係も男の一方的な通告により終わろうとしている。その事実を認められない彼女は男に対し、執拗に食い下がり始める。
  ある日、次女のもとに見知らぬ男から1本の電話がかかってくる。夜のカフェで会ったその男は彼女の前で詩を朗読し、立ち去っていく。その後も彼女はこの男と何度も会うことになる。彼女の中には愛情が立ち上り始めるが、それは3姉妹が押し隠し、影響を受け続けてきた、あの過去の出来事へと繋がる鍵となっていく。
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