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『ローズ・イン・タイドランド』

配給:東北新社
オフィシャルサイト:
http://www.rosein.jp/
この映画の予告編はこちらから


キャスト スタッフ データ
ジョデル・フェルランド
ジェフ・ブリッジス
ジェニファー・ティリー
ジャネット・マクティア
ブレンダン・フレッチャー
監督、脚本:テリー・ギリアム
プロデューサー:
  ジェレミー・トーマス
  ガブリエラ・マルティネリ
原作:ミッチ・カリン
  (『タイドランド』(角川書店))
脚本:トニー・グリゾーニ
撮影監督:ニコラ・ペコリーニ
編集:レスリー・ウォーカー
プロダクションデザイン:
  ヤスナ・ステファノヴィック
衣装デザイン:
  マリオ・ダヴィニョン
 デルフィーヌ・ホワイト
音楽:マイケル・ダナ
    ジェフ・ダナ

*2005年 サン・セバスチャン映画祭
  国際批評家連盟賞 受賞

2005/イギリス・カナダ/カラー/
シネマスコープ/SRD/1時間57分


イントロダクション
「『ブラザー・グリム』で存在をアピールしたテリー・ギリアムが最高に惚れこんだ少女のグロテスクな幻想小説を独自のレシピで料理した、テリー・ギリアム節が炸裂する魅力的なファンタジー・ドラマ」
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 準備期間10年、総制作費50億円、ジョニー・デップ、ヴァネッサ・パラディという実生活でもパートナーを組むふたりが主演するはずだったテリー・ギリアム監督による『ドン・キホーテを殺した男』は撮影開始から僅か数日で製作がストップしてしまった。長い歳月と莫大な金額はあっという間に無になってしまったのだ。この顛末を捉えた『ロスト・イン・ラマンチャ』というドキュメンタリー作品は相当に面白いのだが、テリー・ギリアム自身の胸のうちには笑えないものしか残らなかったはずだ。そうした不運を乗り越え、『ブラザー・グリム』を監督したテリー・ギリアムは今まででは考えられないくらいのペースで次の作品に取り掛かっていた。それが今回紹介する『ローズ・イン・タイドランド』である。
 この作品を撮り終えたテリー・ギリアムは「この映画を作った理由のひとつは、僕自身の映画制作に対する情熱を再燃させたかったということ。」と語っている。信じがたい理由で完成しなかった作品『ドン・キホーテを殺した男』のショックは当然のことながら相当に大きかったのだ。この作品の撮影は『ブラザー・グリム』の編集が中断していた間に行われたというが、テリー・ギリアムにとって久々の作品であった『ブラザー・グリム』から隙間を置くことなく、作品に取り掛かるということは、先の言葉からも伺えるように重要なリハビリでもあったはずだ。「俺は自分の映画がまだ撮れるのか」とまで考えていたのかどうかは分からないが、結果的にはこの作品はテリー・ギリアムらしさが前面に出たものに仕上がっている(いい意味では、新たなテリー・ギリアムの始まりといっていいだろう)。
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  この作品の原作はミッチ・カリンの小説『タイドランド』(角川書店)。ニューメキシコ州出身のミッチ・カリンの小説は日本ではまだこの作品しか単行本としては翻訳されていないが、アメリカ国内では高い評価と熱狂的なファンを獲得している新鋭作家のひとりである。この小説がテリー・ギリアムの眼に触れるきっかけとなったのが、作者自身がテリー・ギリアムの大ファンで、刊行されるこの小説の帯文(推薦文)を依頼したことだった。この小説世界はテリー・ギリアム的少女幻想小説ともいうべきもので、テリー・ギリアムが気に入らないわけがなく、すぐに脚本化に取り掛かり始める。(ちなみに帯文は「クソおもしろい!」となったらしい)。テリー・ギリアムは「一番愛しいと思ったのは主人公の少女の世界観」と小説の魅力について語っているが、もちろんこの世界は完全にとち狂っているのだ。
  主人公の少女はヘロインであっち側とこっち側を行き来しているロック・スターだった父親と、一日中寝そべり、チョコと薬物に依存する母親という身勝手な両親と暮らしている。ある日、母親が突然亡くなり、彼女は父親と祖母が暮らしていた家へと向かう。荒れ果てたその家でふたりだけの生活が始まるはずだったが、その初日に父親はあっちの世界から戻れなくなり、少女はここでひとりで生き抜かなければならなくなってしまう。
  映画の冒頭のシーンで少女は線路脇にある横転し、ぶち壊れた車の中で首だけの人形4体を指人形にして、自分の作り上げた世界の中で遊び続けている。車の中には蛍が飛び交い、その横を列車がスピードを上げ通過していく。振動で揺れる車の中で彼女は楽しそうに叫び続けている。それは子供の頃に誰もが経験した「想像の一人遊び」である。物語は少女から見れば全てがこの「想像の一人遊び」の中で進んでいく。祖母の家の近所に存在した家のとんでもない姉と弟も彼女の中ではきちんとした役割を与えられるし、すぐ先にある鉱山の発破の爆発は間近にある世界の終わりのワンシーンでしかない。
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  『ローズ・イン・タイドランド』というタイトルは「不思議の国のアリス」の原題「アリス・イン・ワンダーランド」のもじりであるが(作品にはウサギや穴も出てくる)、ここで少女がいるのは“不思議の国”ではなく“乾地、干潟”、要するに“不毛の地”である(ミッチ・カリンの出身地であるニューメキシコ州も砂漠の多い土地だ)。不毛の地を生き抜くためではないが、結果的にはその想像力で彼女は恐怖や空腹を楽しみ、勝手にあの弟の中にヒーローを見つけ、恋にまで落ちていく。でも、彼女がヒーローと思っている弟の姉は自分が望む世界を作るために弟や全てを支配し、閉じこもっている。電車は通り過ぎるのみで、ほとんどやってくる者もいないこの閉じた、乾いた世界では様々な出来事が起こり、思わぬ結末が訪れる。オープニングシーンと対になったかのような、どのようにでも解釈できるこのラスト・シーンが本当に素晴らしい。
  作品で大きな注目を浴びるのは主演の少女を演じるジョデル・フェルランドだろう。すでに長い芸歴を持っているらしいが、自分の世界を構築している演技、説得力のある眼、表情など本当にすごく、また新たな天才子役が登場したかという感がある。逆にロック・スターだった父を演じるジェフ・ブリッジスには本当にこんな役なのという驚きがあるかもしれない(でもいい役なんだな)。
  「不思議の国のアリス」的ファンタジーのような宣伝をされているが、テリー・ギリアムが満面の笑みを浮かべたであろう物語から生まれた映像やセットにはテリー・ギリアムらしさが満載されており、『ブラザー・グリム』にがっかりした方もこの作品で一安心できるのではないだろうか。ともあれ、テリー・ギリアムは枯れてなかったということで、その世界が好きな方には存分に楽しめる内容となっている。ぜひ、劇場に脚を運んでください。

ストーリー
「母親が急死、父親は目を覚まさず、何もない地で少女はひとりぼっちになってしまう」
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 10歳の少女ジェライザ=ローズは元ロック・スターでジャンキーの父親ノアと、チョコと薬物を手放せない母親の世話をすることが日課だ。そんなローズはひとりになると「不思議の国のアリス」を読んだり、首だけの人形と空想の世界で遊んでいる。しかし、そんな生活はある日、突然の終わりを告げる。母親が薬物により急死したのだ。ローズは父親と共に祖母が暮らしていた田舎の家へと向かうことになる。草原の中にぽつんと建つ荒れ果てた家が、これからのふたりの生活が始まる場所になるはずだったが、到着して早々、いつものようにローズの用意したヘロインを打った父親はあちら側の世界から戻ってこれないのか、目を覚ますことがない永い眠りへと入ってしまった。引っ越してきてすぐ、知り合いもなく、満足な食料すらない中、ローズはひとりぼっちになってしまうのだが。
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