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『プルートで朝食を』

配給:エレファント・ピクチャー
オフィシャルサイト:
http://www.elephant-picture.jp/pluto/
この映画の予告編はこちらから


キャスト スタッフ データ
キリアン・マーフィー
リーアム・ニーソン
スティーヴン・レイ
ブレンダン・グリーソン
ルース・ネッガ
ローレンス・キンラン
イアン・ハート
ブライアン・フェリー
監督、プロデューサー、脚本:
  ニール・ジョーダン
プロデューサー:
  アラン・モロニー
  スティーヴン・ウーリー
原作、脚本:
  パトリック・マッケーブ
撮影監督:デクラン・クイン
編集:トニー・ローソン
プロダクションデザイナー:
  トム・コンロイ
衣装デザイナー:
  エミア・ニ・ヴォードルニー
音楽:アンナ・ジョーダン

2005/イギリス/ビスタサイズ/
DTS/2時間7分


イントロダクション
「『クライング・ゲーム』のニール・ジョーダン監督が、1960年代から1970年代にかけてのアイルランド、ロンドンを舞台に周囲を気にせず、自分らしく生き続ける“トランス・ジェンダー”の男性を主人公に描く、ポップで、キュートで、切なく、だからこそ胸を打たれるヒューマン・コメディ」
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 現在(2006/6)、ロングラン公開中の『ブロークバック・マウンテン』、これから公開になる『トランスアメリカ』、作家トルーマン・カポーティを描いた『カポーティ』。今年のアカデミー賞にノミネートされたこれらの作品は“トランス・ジェンダー”(性同一性障害や同性愛など)を扱ったものでもある。アカデミー賞という表舞台で大きな注目を浴びたことなどにより、一部では様々な波紋を起こしたらしいが、こうした注目はそれが優れた作品だからこそ起こったことである(時代的な流れもあるだろう)。今回紹介する『プルートで朝食を』もそういった“トランス・ジェンダー”を扱った優れた作品のひとつである。
 実はこの作品も完成直後から高い評価を獲得し、アカデミー賞へのノミネートが有力視されていた(結果的にはされなかったが)。物語の時代と舞台は1960年代から70年代にかけてのアイルランドとロンドン。主人公はここで“トランス・ジェンダー”として生きていくひとりの男性(少年期から青年期まで)である。生まれてすぐにカソリックの神父の家の前に捨てられ、神父により里子に出された子供は幼い頃より化粧、衣服など女性的なスタイルに興味を持ち、学校に通う頃にはそうした部分を否定せず、変わり者としてその存在を認められていた(キラキラしたアクセサリーの付いた制服とかいい感じ)。でも、里親の家族はそれを認めず、彼は自分らしさと本当の母親を探すためにその家を飛び出すことになる。
  “トランス・ジェンダー”に対して閉鎖的なカソリックという宗教的土壌、1960年代から1970年代にかけてのサブカルチャーを中心とした文化的な大転換、そして延々と続くように思えるIRA(アイルランド共和国軍)によるテロ(北アイルランドの分離独立運動)、こうした文化、揺れ動く時代的背景をうまく取り込みながら、物語は進んでいく。例えば、作品の中でも重要なキーのひとつになるポップミュージック、ロックの世界ではミュージシャンがきれいにメイクをし、グラマラスなスタイルで演奏するグラムロックが一世を風靡し始め、“トランス・ジェンダー”的なものは徐々に認められていくようになっていた。それゆえに大きな反発も起こってくるのだが(そこは作品では描かれない)、主人公はそうした部分とは関係なく、自分の道を歩み続けていく。
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  監督は『クライング・ゲーム』、『マイケル・コリンズ』などの作品で高い評価と多くのファンを獲得しているニール・ジョーダン。この作品に対してはアイルランド、ロンドン、IRA、ゲイなどの共通項から『クライング・ゲーム』を思い出す方がいるかもしれない。ただ、『クライング・ゲーム』が政治も絡んだヘビーな物語であったのに対し、この作品の主人公は政治には我関せず、自分らしさを大切に生活し続けている。その態度はどんな状況であろうが変わらず、こうした部分がユーモラスで、キュートで、だからこそファンタジックで切なさにも満ちた物語を生み出している。
  この作品はニール・ジョーダン監督が『ブッチャー・ボーイ』(日本劇場未公開/ちなみに電気羊さんのお勧め!)でもコンビを組んだ作家のパトリック・マッケーブのブッカー賞(イギリスの最高の文学賞)にノミートされた原作に興味を持ったことから始まっている。脚本化とほぼ同時に主人公役の俳優のテストも開始し、そこでこの役にほれ込んだのがキリアン・マーフィー。彼はこの役に関して「あと2年もしたら僕はこの役をやるには歳をとりすぎてしまう」と直訴し、まだ完成していない脚本、めどのついていない映画製作を大きく後押ししていく。それほどまでに出演を熱望したキリアン・マーフィーの演技、彼しかいないと考えたであろう監督やスタッフたちの決断には素晴らしさを感じざる得ない。
  作品は、上空から小さな町を舞い降りていくようなカメラワーク、神父の家の前の小鳥たちの囁きの中、捨てられていく赤ちゃん(主人公)というファンタジックさも持った物語の導入にふさわしいオープニングシーンから、短い章立によるスケッチのような構成でテンポの良く進んでいく。そして、そこで描かれる主人公の飄々としたマイペースながらも芯の通った生き方が自然とこちら側に入り込み、心を捉えてくる。例えば、自分の大切な友人が亡くなることで、彼はかねてから疑問を持っていたIRAの活動に自分なりの行動を提示し(それで彼氏は大変なことになるのだが)、逆にIRAの実行犯として疑われたときにはその警察のやり口に対して自分なりの抵抗を示す(スパイ映画ばりの活躍をみせるその妄想シーンが最高だ)など人を意味のないやり方で傷つけるという行為を徹底的に否定する。そういった点では完全な非暴力の平和主義者である。実は彼自身の人生は愛する男に裏切られ、IRAの活動家の疑いをかけられなど、どんどんと転落をしていっているのだが、そうした部分を全く気にすることがなく(かといって切り捨てるわけでもない)、どんな状況にあろうが前向きに進み続けていく。母親も父親もなく、里親には見捨てられ、性的な中傷も浴びるなど辛い状況をくぐり続けてきた彼にとっては自分の信念を捨てず、前を突き進むことだけしかなかったのかもしれない。だからこそ生まれたであろう寛容な生き方が本当に素晴らしいのだ。実は彼がロンドンへ出てきたのには母親を探すという目的もあるのだが、こちらの方にも彼らしさを示す、切なくも味わいのある結末が待っている。
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  その他、作品の中で注目すべきものはニール・ジョーダン監督作品の常連などが演じる個性豊かなキャラクターたち、きちんと描かれたあの当時の時代背景だろう。時代背景では各章と一体になった音楽が気持ちも伝える重要なキーとなっている。また、キャラクターではちょい役で登場するブライアン・フェリーに注目。この作品の背景と重なるグラム・ロックの時代を駆け抜け、ダンディーの代名詞とまでなったロック・スターがこんな役とはと思うはずだ(でもはまり役)。
  ロック・バンドのリーダー、場末のマジシャンと恋をし、時代の混乱の中で大切な人々に出会い、そして失い、警察の過酷な追及を受けながらも自分を曲げることない主人公の生き方には多くの方が魅了されれるはずだ。“トランス・ジェンダー”をテーマとした作品の公開が相次ぐ中で、そういった部分を軽妙に、人間としての自分らしさ、信念を力強く描いたこの作品をより多くの方々に味わってもらえればと思う。ぜひ、劇場に脚を運んでください。

ストーリー
「幼い頃から女性的なものに憧れ続けていたパトリックは生みの母を捜すために家を出る」
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 ある日の朝、教区司祭であるリーアム神父の家の前に生まれたばかりの赤ちゃんが捨てられていく。神父は赤ちゃんを近所のブレイドン家に養子として委ねる。パトリックと名付けられ、ブレイドン家で成長した子供は幼少の頃から女性の衣服や化粧に興味を持ち、高校生となった今ではその筋の人物として周囲にも奇異な目線を浴びながらも認められ、キトゥンという愛称で呼ばれていた。ただ、ブレイドン家ではそんな彼の存在を疎んでいた。実の母親がロンドンにいるらしいことを噂として聞いていた彼は母親を探す目的を持ち、居辛いだけのブレイドン家を飛び出すことになる。ヒッチハイクをしていた彼が最初に出会ったのは旅回りのロック・バンド。彼はそのバンドのリード・ボーカルであるビリー・ハチェットとすぐに恋に落ち、一緒にステージで歌い始めるが、メンバー間には不穏な空気が広がり始め、ビリーの用意した海沿いにあるトレーラーハウスで彼の帰りを待ちながら暮らすことになる。実はその家はIRAの武器の隠し場所にもなっていた。
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