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『アンリ・カルティエ=ブレッソン 瞬間の記憶』

配給:ロングライド
オフィシャルサイト:
http://www.longride.jp/hcb/
この映画の予告編はこちらから


キャスト スタッフ データ
アンリ・カルティエ=ブレッソン
エリオット・アーウィット
アーサー・ミラー
イザベル・ユペール
ロベール・デルピエール
ジョセフ・クーデルカ
フェルディナンド・シアナ
監督、脚本:ハインツ・バトラー
撮影: マティアス・カリン
編集:アーニャ・ボンベリ

2003/スイス、フランス/デジタル/
カラー/ヴィスタサイズ/ステレオ/
1時間12分


イントロダクション
「2005年に亡くなった、20世紀最大の写真家アンリ・カルティエ=ブレッソン。死の直前に彼が自身の人生と作品を語った、彼を愛する者への遺言ともいうべき、全ての芸術を愛する者のためのドキュメンタリー作品」
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 写真と映画は密接な関係性を持っている。今ではほとんどなくなったスタンダード・サイズの映画は35ミリのフィルム(一般的なカメラのフィルムサイズ)とほぼ同様のものである。シネマ・スコープ・サイズなど映画の画面がより大きくなるにつれ、このスタンダード・サイズの映像はなくなっていったのだが、たまにそのサイズの作品をスクリーンで観ると「美しいな」と感じてしまう(ちなみに一般的なテレビもこのサイズだ)。ヴィム・ヴェンダースのように写真集を発表している映画監督も、ホンマタカシなど自らの手でフィルムを回す写真家も数多く存在する。そんな血縁関係にある写真と映画は全く異なる世界を持っている。写真は瞬間を切り取るが、映画はそうではない。互いに物語を描いていくが、それは“物語ありき”映画と“物語を紡ぎ出す”写真という見方が出来ると思う。そんな写真の世界にいざなう格好の作品『アンリ・カルティエ=ブレッソン 瞬間の記憶』が公開される。
 まずはこの作品の主人公であるアンリ・カルティエ=ブレッソンについて触れておきたい。写真に多少なりとも興味のある方なら「あの水溜りを飛び越える写真」などで通じてしまうと思うが(経歴などは必要ないということだ)、彼の功績をひと言で表せば「スナップ写真を芸術の域にまで高めた写真家」ということになるだろう。彼の名を決定付けた写真集は「決定的瞬間」という1冊(映画の中でオリジナル版が出てくるが、マティスによる美しい装丁がなされている)であり、それ以降、彼にはこの“決定的瞬間”というコピーが伴侶のように付きまとうこととなる。この写真集が刊行されたのは1952年だが、それ以前から彼はロバート・キャパらと写真家集団“マグナム”を結成するなど世界を代表する写真家として活躍している。実は世界的な写真家となる前に名匠ジャン・ルノワール監督の作品に助監督として関わり、自らも映画を勉強し、何本ものドキュメンタリー作品を監督するなど映画との関わりも深い。
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  アンリ・カルティエ=ブレッソンは2004年に95歳で亡くなっている。自らの撮った写真や人生を回想的に語るこの作品が撮られたのは2002年から2003年にかけてであり、身体的な寿命を考えれば、いつあちら側へ行ってもおかしくない彼からの写真や芸術を愛する者たちへの遺言と受け取れるだろう。生前、撮影の妨げになるという理由から彼は人前に出ることを出来る限り避けていた彼がこうした形で作品に登場したというのも大きな理由だ。ただし、ここでの彼は大好きな絵画を極めたいと発言し、生きることに前向きである。絵画は全てが瞬間の世界ではない。そういったところも多少なりとも大きな理由ではないだろうか。また、文章としての自伝でなく、映像として自伝的な作品を残したのも彼らしいのではないだろうか。
  作品は写真をプリントしているシーンから始まる。プリントをしている人物はブレッソンではない(レタッチの作業も垣間見れる)。出来上がったプリントを満足げに眺めながら「私には現像の才能はなかった。現像は忍耐、撮影は短期。」とブレッソンは言う。そして海岸で人が寝そべる写真をかざし「人の配列が楽しい。完璧な構図だ。」と当然のように語る。この“完璧な構図”と先の“決定的瞬間”こそが真似しようにも真似できなかったアンリ・カルティエ=ブレッソンがアンリ・カルティエ=ブレッソンたる所以なのである(写真の歴史を解説した本にはブレッソンの写真の構図の完璧さを事細かに解説したものもあるので気になる方は一読してみるのもいいと思う)。その後、“完璧な構図”という言葉を何度か出しながら、彼は自分の人生を語り、写真がその撮られた状況を事細かに解説する。それは何気ないスナップだけれども1秒の差でなくなってしまったであろう“決定的瞬間”を捉えた“完璧な構図”の1枚である。そういった写真がスライドのように1枚ずつ映し出されていくシーンにはため息と感動が沸き起こってくる(この状況の90分でも十二分に満足してしまうだろう)。そこに彼の影響を受けたエリオット・アーウィット、ジョゼフ・クーデリカなどの写真家、女優のイザベル・ユペール、作家のアーサー・ミラーなどがブレッソンの写真を眺めながら語る様子が挟み込まれていく。コピー機のない時代に自分のカメラで「決定的瞬間」を複写したと語る写真家のフェルディナンド・シアナ、結婚生活を送っていたことのあるマリリン・モンローのポートレイトを手に「これは彼女の本当の姿を捉えている」と語るアーサー・ミラー、自分が一番好きなポートレイトとしてブレッソンが撮ったものを撮影状況と共に語るイザベル・ユペールなど誰もがブレッソンに愛情と敬意を持ち、自分の宝物のように語っていく。
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  晩年のブレッソンはカメラはほとんど手に取らず、絵画に没頭していた。この作品でも彼は子供の頃から大好きだった絵画への情熱を語り、美術館で好きな絵画を解説し、自らの描いた作品を見せてくれる(コラージュからデッサンまで、長い年月にわたるこれも素晴らしい作品だが、もちろん写真には及ばない)。
  ブレッソンは“決定的瞬間”で世界をあっと言わせたが、この作品はブレッソンと彼の残した作品へのため息と湧きあがる感動が続いていく瞬間が積み重ねられたような物語である。写真が好きな方は見逃すはずがないと思うが、より多くの芸術好き、映画好きに観てもらえればと思う。そして劇場にはカメラを持っていった方がいいと思う。作品を観終わったら、自分なりの写真を撮りたくなることは間違いないのだから(くれぐれも劇場では撮らないように。カメラはもちろんデジタルでなくフィルムで)。ぜひ、劇場でその瞬間を味わってください。

ストーリー
「20世紀が生み出した最高の写真家アンリ・カルティエ=ブレッソンが語る自らの人生と作品」
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 写真を現像する風景。現像液の中から取り出される印画紙。そこにある写真。それは「決定的瞬間」という写真集で写真界に決定的影響を与えた20世紀が生み出した最高の写真家であるアンリ・カルティエ=ブレッソンのもの。出来上がった写真を満足げに眺め、その写真を手に「完璧な構図だ」と説明を始めるブレッソン。この作品は2004年に95歳で亡くなったブレッソンが自らの人生と作品について語った、彼を愛する者たちへの遺書ともいえるドキュメンタリーである。彼の言葉、そして作品、すべたが“決定的瞬間”に満ちている。
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